2026年9月20日

第1277回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • ロシュ、ルンスミオの濾胞性リンパ腫二次治療試験が成功 
  • IgA腎症用薬の本承認切替申請へ 
  • サイケデリックの第3相がまたまた成功 
  • エンハーツの肺癌一次治療試験が成功したが 
  • 承認申請中のEGFR阻害剤の一次治療試験が成功 
  • GSK、ROS1阻害剤の一次治療試験が成功 
  • BIの新規アルドステロン合成酵素阻害剤、最初の第3相が無益中止に 
  • アストラゼネカ、低ホスファターゼ症の皮下注用薬を米でも承認申請 
  • 武田、TYK2阻害剤を承認申請 
  • 9月のCHMP結果 
  • イーライリリーのイムルリオ、ベージニオ併用も承認 
  • 毛細血管拡張性運動失調症の初の運動症状用薬が承認 
  • サンフィリッポ症候群A型の遺伝子療法が承認 
  • バイエル、ケレンディアが一型糖尿病腎症に適応拡大 
  • 神経膠腫の新規PET診断薬が承認 
  • 新種の脊髄筋萎縮症用薬を承認 
  • 小細胞性肺癌用薬イムデトラの投与後観察時間が大幅減少 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 

【新薬開発】


ロシュ、ルンスミオの濾胞性リンパ腫二次治療試験が成功
(2026年9月17日発表)

ロシュはLunsumio(mosunetuzumab-axgb)が第3相CELESTIMO試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向かうのではないか。22~24年に欧米日で再発/難治濾胞性リンパ腫(r/rFL)の3次治療薬として承認されたが、欧米は条件付き/加速承認なので、本承認切替も見込まれる。

この日本も参加した試験はr/rFLの2次治療を受ける患者を組入れて、抗CD20xCD3二重特異性抗体Revlimid(lenalidomide)と併用する便益をlenalidomideと抗CD20抗体rituximabを併用するレジメンと比較した。両群とも忍容なら12サイクル施行。主評価項目のPFSを中間解析で達成、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。数値は未公表。全生存期間のデータは未成熟。

r/rFLの2次治療薬としては、lenalidomideとrituximabの2剤にアッヴィの抗CD20xCD3二重特異性抗体Epkinly(epcoritamab-bysp)あるいはIncyte社の抗CD19抗体Monjuvi(tafasitamab-cxix)を加える3剤併用療法が24~25年に米欧日で承認されている。今回は2剤併用なので、PFSや忍容性がどの程度違うか、注目される。

リンク: プレス・リリース


IgA腎症用薬の本承認切替申請へ
(2026年9月15日発表)

Vera Therapeutics(Nasdaq:VERA)はTrutakna(atacicept-vymj)の第3相ORIGIN 3試験で事前に設定した全評価項目を達成したと発表した。今年7月にIgA腎症用薬としてFDAに加速承認されたばかりだが、10~12月四半期に本承認切替申請を行う考え。

BAFF(B cell activating factor)とAPRIL(A Proliferation Inducing Ligand)に結合するTACI(transmembrane activator and calcium modulator cyclophilin ligand interactor)と免疫グロブリンG1のFcドメインを細胞融合したもの。他の多くのIgA腎症薬と同様に、第3相試験の36週UPCR(尿蛋白クレアチニン比、24時間平均)低下作用に基づき加速承認され、今回、同試験の104週eGFR(推算糸球体濾過量)で腎機能悪化を抑制する作用が確認された。偽薬群が年率で5.6mL/min/1.73m低下したのに対して試験薬群は0.6mL/min/1.73m低下に留まり、治療効果は5.0mL/min/1.73m、統計的に有意だった。

腎疾患の進行に係る複合評価項目のハザード・レシオは0.24(95%信頼区間0.12-0.48)だった。プレス・リリースには集計対象イベントの内容は記されておらず、ClinicalTrials.govにはこの評価項目は記されていない。

尚、他製品の同様な試験はeGFRを共同主評価項目としているが、本試験は36週UPCRだけを主評価項目としている点が特徴的。報道によるとFDAの了解を得ているようだ。

リンク: プレス・リリース


サイケデリックの第3相がまたまた成功
(2026年9月14日発表)

米国ニューヨーク州のDefinium Therapeutics(Nasdaq:DFTX)は、DT120(lysergide d-tartrate)が第3相Panorama試験で全般不安症の症状を改善したと発表した。後期第2相と合わせて3連勝。大鬱病の第3相も一本成功しており、同社はどちらの適応症を先に申請するかなどをFDAと相談する考え。

1938年にロシュではなくサンドのAlbert Hofmannが合成したLSで、セロトニン2A受容体を部分作動する。Catalent社のZydis溶解技術を採用して知財を増強した。今回の試験は欧米の施設で適切な治療を初めて受ける成人患者245人を偽薬群、100mcg一回投与群、50mcg一回投与参考群に無作為化割付けして12週間投与し、HAM-A(ハミルトン不安評価尺度)総スコアの変化を群間比較した。100mcg群は偽薬調整後で5.1点改善し、統計的に有意な成果を上げた。50mcg群も3.8点改善した(有意性は検討対象外)。尚、偽薬群は4.7点改善した。

第3相VOYAGE試験では100mcg群の治療効果(偽薬調整後)が5.4点で有意だった。後期第2相では100mcgの第4週HAM-Aが偽薬調整後6.0点、50mcg群は5.0点だった。

サイケデリックは多くの患者で錯覚、幻覚、陶酔感などが表れるため被験者がどちらを服用したか気付き盲検が無効になってしまうリスクがある。このため、Panorama試験で50mcg群を設定して、精神症状は発生するが治療効果は小さい、事実上の偽薬群としての参考値を取得した。ただ、後期第2相と同様に、50mcg群の治療効果が100mcg群より大きく見劣りする訳でもない。用量反応相関が検討されていないのではっきりとしたことは言えないが、それでも、多くの人は、50mcgでもそこそこの効果があると受け止めるのではないか。忍容性が大差ないなら100mcgで良いのかもしれないが。

尚、同社の第3相は精神療法は施行せず、薬物療法だけの便益を検討した。副作用に対応するため、投与終了後5時間以上、被験者を留め、1時間おきにチェックリストで精神症状解消を確認し医師が承認したら帰宅可、という他の企業の承認申請用第3相試験と同様なプロトコルが導入されている。

リンク: プレス・リリース


エンハーツの肺癌一次治療試験が成功したが
(2026年9月14日発表)

第一三共の抗her2抗体薬物複合体Enhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki)を共同開発販売しているアストラゼネカは、第3相DESTINY-Lung04試験の成績をWCLC(World Congress of Lung Cancer)で発表した。PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が標準療法を有意に上回ったが全生存期間の中間解析は、未成熟なためか、パッとしない結果になった。

この日本も参加したグローバル試験は、her2にエクソン19/20変異のある切除不能、局所進行、または転移性の扁平上皮非小細胞性肺癌の患者454人をEnhertu群(承認されている2次治療と同じ5.4mg/kg3週毎投与)または標準療法群(白金薬、pemetrexed、pembrolizumabの併用)に無作為化割付けして転帰を比較した。主評価項目のPFSはメジアン値が各群14.3ヶ月と8.3ヶ月、ハザード・レシオは0.63となり、統計的にも臨床的にも有意な差があった。一方、副次的評価項目の全生存期間(47%成熟時点)はメジアン29.3ヶ月対33.1ヶ月、ハザード・レシオは1.15(95%信頼区間0.88-1.52)となり、死亡リスクが5割高い可能性が現時点では否定されていない。

アストラゼネカによると、2次以降の治療内容がかなり異なることが影響した可能性がある。her2標的薬の使用率は23.3%で標準療法群の48.0%よりだいぶ低かった。また、Enhertu群は2次以降に化学免疫療法にクロスオーバーした患者は23.8%のみだった。

今回の全生存解析は正式なものではないようだ。正式な、第2回と最終解析の結果が注目される。

忍容性ではG3以上の治療関連有害事象発生率は各群34.1%対33.6%と大差なかった。ADCに付き物のILD/肺臓炎(独立査読委員会判定)の発生率は20.8%、これによる死亡率は1.8%だった。

リンク: プレス・リリース


承認申請中のEGFR阻害剤の一次治療試験が成功
(2026年9月13日発表)

米国のCullinan Oncology(Nasdaq:CGEM)と大鵬薬品は、両社で共同開発し米国で承認申請中のEGFR阻害剤、CLN-081/TAS6417(zipalertinib)が第3相一次治療試験の中間解析で主目的を達成したと8月に発表したが、WCLCでデータを公表した。FDAと相談の上で承認申請する考え。

EGFR阻害剤耐性変異であるエクソン20挿入(ex20ins)変異を標的とする不可逆的阻害剤。野生EGFRは阻害しない。今年4月に白金薬ベース化学療法(amivantamab併用可)を施行中又は施行後に進行したEGFR ex20ins変異局所進行/転移非小細胞性肺癌の薬としてFDAが承認申請を受理、審査期限は27年2月27日となっている。エビデンスとなる第1/2相REZILIENT1試験の後期第2相ポーションで、治療歴のあるEGFR ex20ins変異非小細胞性肺癌におけるORR(確認客観的反応率、盲検独立中央評価)が35%、反応持続期間はメジアン8.8ヶ月だった。白金薬歴のみの患者では各40%と8.8ヶ月だった。

今回のREZILIENT3試験はEGFR ex20ins変異局所進行/転移非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療を受ける成人279人を組入れて化学療法に追加する便益を検討した。用量用法は再発治療と同じ、100mg一日2回経口投与。主評価項目のPFSはハザード・レシオ0.50、メジアン値は14.5ヶ月と化学療法だけの群の8.5ヶ月を上回った。脳転移サブグループの解析も良好。全生存期間は30%しか成熟していないが、ハザード・レシオ0.72(95%信頼区間0.42-1.23)と望ましい方向を指している。G3以上の有害事象発生率は87.1%対54.4%と上昇した。

リンク: プレス・リリース


GSK、ROS1阻害剤の一次治療試験が成功
(2026年9月13日発表)

GSKはJideytro(zidesamtinib)がチロシン・キナーゼ阻害剤未治療のROS1(receptor tyrosine kinase c-ros oncogene 1)変異陽性非小細胞性肺癌に高いORR(客観的反応率)と反応持続期間を示したとWCLCで発表した。25年11月に米国でROS1チロシン・キナーゼ阻害剤歴を持つROS1陽性進行非小細胞性肺癌向けに承認されているが、年内に一次治療に適応拡大申請する考え。

7月にNuvalent社を買収して入手したばかりのROS1阻害剤。ROS1阻害剤誘導性変異であるG2032R変異などにも活性を持ち、中枢神経浸透性。今回データは、承認のエビデンスとなったfirst in human試験である第1/2相試験のチロシン・キナーゼ未経験コフォートのもの。94人中ORRが94%(完全反応15%)、その86%でメジアン反応持続期間が12ヶ月以上だった。症例は少ないが脳転移にも効果が見られた。

リンク: プレス・リリース


BIの新規アルドステロン合成酵素阻害剤、最初の第3相が無益中止に
(2026年9月15日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムはBI 690517(vicadrostat)の慢性腎不全における第3相EASi-KIDNEY試験を中止すると発表した。独立データ監視委員会が無益中止を推奨したため。他の疾患における3本の第3相試験はデータ監視委員会が続行を推奨した。

新開発のアルドステロン合成酵素阻害剤。今回の日本も参加した試験は、進行リスクの高い慢性腎疾患患者11000人を組入れて、SGLT阻害剤empagliflozin(ACE阻害剤/ARB併用可)と併用する便益を検討した。主評価項目は、腎不全、eGFRの持続的40%超低下、心不全入院、または心血管疾患死の複合time to event分析。

他の第3相は、左室駆出率が40%未満に低下した心不全のEASi-HF-Reduced試験、40%以上を維持する心不全のEASi-HF-Preserved試験、そして二型糖尿病、高血圧症、または心血管疾患で心不全歴はない患者のEASi-PROTKT試験の3本が進行中。何れもempagliflozinに追加することで心不全などの心血管アウトカムの向上を図るもの。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


アストラゼネカ、低ホスファターゼ症の皮下注用薬を米でも承認申請
(2026年9月18日発表)

アストラゼネカはALXN1850(efzimfotase alfa)を低ホスファターゼ症(HPP)用薬としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は27年上期とのみ公表している。日本では第2四半期に承認申請、EUは8月に承認審査開始。

患者で欠乏するTNSALP(tissue-nonspecific alkaline phosphatase)を補充する。同社のStrensiq(asfotase alfa)は週3~6回の皮下注が必要だが、一部改変により2週毎皮下注で足りるようにした。Strensiq治療歴のない2~11歳の患者を組入れた試験とStrensiqからスイッチする試験が成功し、6月のICCBHで学会発表された。12歳以上の未治療小児・成人患者を組入れて歩行能力の改善を図った第3相はフェールしたが、成人発症型サブグループ以外には良好な結果であった模様。

リンク: プレス・リリース


武田、TYK2阻害剤を承認申請
(2026年9月14日発表)

武田薬品は、次期主力製品と期待するTAK-279(zasocitinib)を中重度尋常性乾癬用薬として米国で承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は27年1-3月四半期とのこと。欧州でもEMA(欧州薬品庁)が8月に承認審査を開始している。

23年にNimbus Therapeuticsの子会社を40億ドル及び達成報奨金最大20億ドルで買収して入手したTYK2阻害剤。IL-12やIL-23、一型インターフェロンによるシグナル伝達を調停する。類薬はブリストル マイヤーズ スクイブのSotyktu(deucravacitinib)が22~23年に米日欧で同適応症に承認されているが、TAK-279はTYK2を24時間阻害し、選択性が高いとされる。実際、LATITUDE直接比較試験で16週PASI100達成率が35%超と、Sotyktu群の2.5倍以上であった模様だ。

リンク: プレス・リリース(和文)

【承認審査・委員会】


9月のCHMP結果
(2026年9月18日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAプレス・リリース

ノボ ノルディスクのFrehemgo(denecimig)は血液凝固第VIX2因子と第X因子を架橋する二重特異性抗体。第VIII因子のインヒビターを保有する、または保有していないが第VIII因子の活性が低く予防的投与を必要とするA型血友病に用いる。米国でも承認申請中。

リンク: EMAプレス・リリース

Ensacove(ensartinib)はALK阻害剤。成人のALK陽性進行非小細胞性肺癌で、ALK阻害剤未経験又はcrizotinib歴のある患者に用いる。承認申請者はSFL Pharmaceuticals Deutschland GmbHとなっているが、おそらく承認後に変更されるのだろう。中国ではBetta Pharmaceuticals(貝達薬業)が20年に承認を取得、一次治療や摘出術付随療法に適応拡大を進めてきた。米国ではその子会社であるXcovery Holdingsが24年に今回と同様な適応で承認取得している。

リンク: EMAプレス・リリース

アストラゼネカの子会社、アレクシオンのKlygefa(gefurulimab)は抗C5抗体の可変領域重鎖一本に抗ヒト・アルブミン抗体を結合したもの。類薬であるUltomiris(ravulizumab-cwvz)と比べて分子量が1/5と小さく、点滴静注ではなく皮下注が可能。今後、適応拡大が進められるだろうが、初回適応症はアセチルコリン受容体に対する抗体を持つ全身型重症筋無力症。標準療法に追加投与する。日本では今月、承認されたところ。

リンク: EMAプレス・リリース

Corcept Therapeutics(Nasdaq:CORT)のLifyorli(relacorilant)は選択的可逆的グルココルチコイド受容体拮抗剤。全身性治療薬による1~3次治療歴のある白金抵抗性のハイグレード上皮性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹腔癌に、nab-paclitaxelと併用する。化学療法感受性を向上する模様で、第3相ROSELLA試験ではPFS(無進行生存期間)がnab-paclitaxelだけの群を有意に上回った。米国では3月に承認され、副腎皮質ホルモン過剰症による高血圧症の治療に2巡目の適応拡大申請中。

リンク: EMAプレス・リリース

インサイト(Nasaq:INCY)のPovofortay(povorcitinib)はJAK1阻害剤。活性期中重度化膿性汗腺炎の成人で、抗TNFアルファ抗体に応答不十分、不耐、禁忌な場合に用いる。日本も参加した第3相試験二本で、奏効率が40%強と偽薬群の30%弱を有意に上回った。米国でも承認申請中。

リンク: EMAプレス・リリース

Sepalna(senaparib)はPARP阻害剤。成人の進行上皮性卵巣癌、卵管がん、または原発性腹膜癌で白金ベースの一次治療に部分反応以上だった患者の維持療法に用いる。申請者はSFL Pharmaceuticals deutschland GmbH。中国のImpact Therapeutics(07630.HK)が25年1月に中国で承認を取得、26年に卵巣癌維持療法に関する欧州などにおける製造開発商業化権を英国のPharmanoviaに供与している。

リンク: EMAプレス・リリース
リンク: IMPACT TherapeuticsとPharmanoviaの共同プレス・リリース

サノフィ・グループのSanofi Winthrop Industrieが申請したVaxRabeoは狂牛病の曝露前/曝露後予防に用いる不活化全粒子ワクチン。年齢制限はない。サノフィは狂牛病のワクチンとしてIMOVAX RaviesやVero細胞培養型のVerorabを世界各地で展開しているが、VaxRabeoとの異同は当方は分からなかった。

リンク: EMAプレス・リリース

デンマークのZealand Pharma(Nasdaq:ZEAL)のZeydovio(glepaglutide)は長期作用性GLP-2作用剤。短腸症候群の成人に、術後に小腸が順応し安定した段階で投与を開始する。武田薬品のGattex(teduglutide)は一日一回皮下注だが、こちらは週2回投与で足りる。同社は23年に米国でも承認申請したが、審査完了通知を受領した。

リンク: EMAプレス・リリース

適応拡大では以下が肯定的意見を受けた。
  • ノバルティスのCosentyx(secukinumab):グルココルチコイド不十分応答/再燃の成人のリウマチ性多発筋痛症。米日でも申請中。
  • 第一三共のEnhertu(trastuzumab deruxtecan):成人のher2陽性乳癌でtaxane系とher2標的薬による術前療法後に浸潤性残存病変を有する摘出術後付随療法。米国で5月に承認、日本でも申請中。
  • AlfasigmaのJyseleca(filgotinib):成人の活性期非放射線学的体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)でCRP上昇且つ又MRI所見で炎症の客観的な兆候が見られる場合。及び、成人の活性期r-axSpAで従来療法に不十分応答の場合。
  • ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin)とMSDのKeytruda(pembrolizumab):筋層浸潤膀胱癌の術前術後併用療法におけるcisplatin不耐限定を解除。米は7月に承認、日本でも申請中。
  • Oncopeptides ABのPepaxti(melphalan flufenamide):成人の多発骨髄腫、但し、2次以上の治療歴を持ちlenalodomideと最終治療に抵抗性の場合。米国は21年に4次治療で加速承認されたが市販後薬効確認試験がフェールし24年に承認取消。EUは4次治療に加え23年には今回と同じ3次治療でも承認されたが、商業的な理由で取下げていた。
  • ジョンソン エンド ジョンソン・グループのTecvayli(teclistamab):再発多発骨髄腫のモノセラピーにおける4次治療以降限定を2次治療以降に変更。米でも申請中。
  • ベーリンガー・インゲルハイムのPradaxa(dabigatran etexilate):静脈血栓塞栓の予防や再発予防用途における適応年齢下限を、『柔らかい食事を飲み込める年齢』から8歳に変更。米は21年に承認。

一方、6月に否定的意見となったフランスのMaaT Pharma(EURONEXT:MAAT)のXervyteg(同種便マイクロバイオーム療法)は、再審査を経て再び否定的意見となった。急性移植片対宿主病の治療薬として申請されたが、対照試験が実施されていないため、エビデンス不足と判定した。
7月に否定的意見を纏めたが申請者側の要請に基づき再審を決定したのは、
  • Proveca PharmaのKemSu(sufentanil、ketamine):1~17歳の小児の急性疼痛治療。
  • Zevra TherapeuticsのMeplyffa(arimoclomol):ニーマン・ピック病C型。米国では24年にMiplyffa名で承認。
  • CATS Consultants GmbHのQezzaqar(catequentinib):平滑筋肉腫3次治療と滑膜肉腫2次治療

新薬承認申請が撤回されたのは、
  • Scholar Rock(Nasdaq:SRRK)のIsembyld(apitegromab-mstn):期限までにcGMP問題を解消できず8月に撤回。米国ではCatalent Indianaの問題を乗り越えて9月に脊髄筋萎縮症薬として承認取得できたので、欧州でも早晩、承認されるのではないか。
  • デンマークのPharmacosmosのCosela(trilaciclib):CDK4/6阻害剤。米国では進展型小細胞性肺癌の化学療法誘導性骨髄抑制を緩和する用途で21年に承認されたが、 欧州はCHMPが便益の多寡や抗癌剤との相互作用リスクを懸念し、後ろ向きに考えていた。

適応拡大申請が撤回されたのは、
  • ノボ ノルディスクのAlhemo(concizumab):血友病向け抗組織因子経路インヒビター抗体。11歳以下の患者に対象年齢拡大申請していたが、CHMPは様々なサブグループに関するエビデンスが充実していないことなどに懐疑的だった。
  • Regeneron PharmaceuticalsのKaftrio(elexacaftor、tezacaftor 、ivacaftor):1歳以上のクラスI変異型ではない嚢胞性線維症を適応とする承認申請を9月に撤回した。CHMPは未だ当初審査段階だったとのことなので自己都合と想像される。

【承認】


イーライリリーのイムルリオ、ベージニオ併用も承認
(2026年9月18日発表)

イーライリリーは、FDAがInluriyo(imlunestrant)の用法追加を承認したと発表した。適応範囲が思っていたより狭く、また、既承認用法と共食いになる可能性がありそうだ。

脳浸透性SERD(選択的エストロゲン受容体アルファ零落剤)。25年9月に米国で成人の一次以上の内分泌療法歴を有するエストロゲン受容体陽性、her2陰性、ESR1変異型の進行/転移乳癌に400mgを一日一回、経口投与することが米国で承認され、同年12月には日本でも承認はされた。第3相EMBER-3試験で、ESR1変異サブグループにおける単剤投与群138人のPFS(無進行生存期間、治験医評価)がメジアン5.5ヶ月と実薬対照群(fulvestrantまたはexemestaneを投与)118人の3.9ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.62だった。

今回の承認は同試験の共同主評価項目である、同社のCDK4/6阻害剤Verzenio(abemaciclib)と併用した群と単剤投与群の、但しintent-to-treatベースではなくESR1変異サブグループの探索的解析に基づくもの。単剤投与群はESR1変異を有しないサブグループやintent-to-treatベースでは偽薬比有意な効果を示さなかった。このため、FDAは、併用もESR1変異サブグループ以外、承認しなかった。レーベルによると、併用群67人のPFSはメジアン11.1ヶ月、単剤投与群92人は5.5ヶ月で、ハザード・レシオは0.53(95%信頼区間0.35-0.80)だった。因みに、intent-to-treatベースではメジアン9.4ヶ月対5.5ヶ月、ハザード・レシオ0.57だった。

深刻有害事象と致死的有害事象の発生率は、単剤投与群は各10%と1.8%、併用群は21%と3.8%だった。

治療効果に有意な差があるので忍容なら単剤より併用のほうが良さそうだ。問題は、ESR1変異を有さない患者に併用するのは本当に駄目なのか?イーライリリーの抗癌剤では以前にもあったが、初承認後に改めて、目標適応症全体における承認を狙うことになりそうだ。

類薬ではアストラゼネカのSERD、Etcamah(camizestrant)が定期血液検査でESR1変異が確認された、まだ一次治療がフェールしたとは言えない段階でスイッチする斬新な用法で、6~9月に日欧米で承認されたところ。米国の諮問委員会では反対票が上回ったので危ぶんだが、無事ゴールした。一方、Inluriyoは意外な顛末になった。

リンク: プレス・リリース


毛細血管拡張性運動失調症の初の運動症状用薬が承認
(2026年9月18日発表)

FDAはIntraBioのAqneursa(levacetylleucine)を体重15kg以上の小児と成人の毛細血管拡張性運動失調症に適応拡大を認めた。4歳以上の患者を組入れた第3相クロス・オーバー試験で、SARA機能評価値が偽薬服用期間より改善した。運動症状改善作用が確認された薬は初。EUでも承認審査中。

アミノ酸の一つであるロイシンの補充療法。24年9月に米国で、今年1月にはEUでも、ニーマン・ピック病C型の治療薬として初承認された。

リンク: プレス・リリース


サンフィリッポ症候群A型の遺伝子療法が承認
(2026年9月17日発表)

FDAはUltragenyx(Nasdaq:RARE)のFayuvi(rebisufligene etisparvovec-hopf)をムコ多糖症IIIA型、別名サンフィリッポ症候群A型の治療薬として承認した。欠乏しているSGSH(N-sulfoglucosamine sulfohydrolase)遺伝子をアデノ随伴ウイルス9型をベクターとして導入し、グリコサミノグリカンが分解されずに蓄積するのを防ぐ、初の根源的治療薬。

事業として成り立つ地域における患者数は世界で3000~5000人と推測されている超希少疾患なので、本剤の安全性データ・ベースは33例、うち、承認用量である3.0x10^13vg/kgの投与実績は27例と少ない。年齢が2歳以下、または神経発達障害が軽度の患者合わせて17人に施行したところ、認知発達指数(Bayley Scales of Infant and Toddler Development-III Cognitive Scale)が生後24ヶ月から60ヶ月までの期間に16.0点改善した。自然歴対照群は7.6点悪化となり、有意な差があった。警告注意事項は肝毒性、血小板減少症、血栓性微小血管症、過敏/点滴反応、そしてAAVベクターのDNAがゲノムに統合され癌を生じさせる懸念。

オハイオ州立大学とNationwide Children's Hospitalの研究者が創製。ライセンスを持つAbeona Therapeutics(Nasdaq:ABEO)が22年にUltragenyxに導出したもの。

リンク: FDAのプレス・リリース
リンク: Ultragenyxのプレス・リリース


バイエル、ケレンディアが一型糖尿病腎症に適応拡大
(2026年9月17日発表)

バイエルは、FDAがKerendia(finerenone)を一型糖尿病患者の慢性腎疾患に適応拡大を認めたと発表した。この適応の承認は30年以上ぶりとのこと。

21~22年に米欧日で二型糖尿病患者の慢性腎不全治療薬として承認された非ステロイド系鉱質コルチコイド受容体拮抗剤。左心駆出率が軽度低下または保持されている心不全にも承認されている。今回の承認の根拠は、242人を組入れた第3相FINE-ONE試験におけるUACR(尿アルブミン・クレアチニン比)低下抑制作用。UACRだけではエビデンスとして弱いが、二型糖尿病の慢性腎不全を組入れた二本の第3相試験のプール分析で腎保護作用の8割以上がUACR低下の寄与であることを確認し、支持的証跡とした。

リンク: プレス・リリース


神経膠腫の新規PET診断薬が承認
(2026年9月14日発表)

オーストラリアのTelix(ASX:TLX)は、FDAがPixclara(foretyrosine F18)を1ヶ月児以上の神経膠腫のPET造影剤として承認したと発表した。治療関連変化が難治/進行性神経膠腫かどうか評価するために用いる。この種のアミノ酸造影剤は国際的な診断治療ガイドラインで推奨されているが、FDAに承認された製品は初めて。24年10月に承認申請し、2巡目で承認にたどり着いた。

リンク: プレス・リリース


新種の脊髄筋萎縮症用薬を承認
(2026年9月11日発表)

FDAはScholar Rock(Nasdaq:SRRK)のIsembyld(apitegromab-mstn)を脊髄筋萎縮症(SMA)治療薬として承認した。2歳以上でSMN2標的薬による治療を受けている患者に追加投与する。第3相SAPPHIRE試験で歩行不能な2/3型SMA患者に4週毎点滴静注したところ、主評価対象である2~12歳の患者において、推奨用量である10mg/kgを投与した群の1年後HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale Expanded)が1点上昇し、偽薬群の1.2点低下と有意な差があった。3点上昇達成率は各群34.2%と13.5%、オッズ比のp値は0.0125だった。主な有害事象は上部気道感染症、嘔吐、咳など。

SMAではバイオジェン/IonysのSpinraza(nusinersen)、ロシュのEvrysdi(risdiplam)、ノバルティスのZolgensma(onasemnogene abeparvovec-xioi)といった、機能していないSMN1遺伝子の代わりにSMN2を発現させる治療法が承認されているが、筋力低下を直接的に遅らせる薬の承認は初めて。動物試験でTGFベータ・スーパーファミリーの一つであるマイオスタチンを抑制したら筋力が向上したことに着目、前駆不活性体であるproMyostatinに結合するIgG4ラムダ抗体を開発した。25年1月に承認申請したが、フィル・フィニッシュ工程の委託先である、ノボ ノルディスクが買収したCatalentのノボが運営するインディアナ工場のcGMP問題に巻き込まれ、承認が遅れた。

リンク: プレス・リリース


小細胞性肺癌用薬イムデトラの投与後観察時間が大幅減少
(2026年9月11日付)

FDAはアムジェンの抗DLL3xCD3二重特異性抗体Imdelltra(tarlatamab-dlle)に関するレーベル改訂を承認し、初回投与と2回目投与時の推奨モニタリング時間を従来の22~24時間から6~8時間に短縮した(起算は1時間の点滴静注開始時)。患者に対するいざという時に1時間以内に適切な治療を受けられる場所で48時間過ごすという推奨や、3回目以降のモニタリング時間は変更ない。

Imdelltraは米国で24年5月に進展期小細胞性肺癌の2次治療薬として加速承認、12月には日本でも承認された。クラス・イフェクトであるサイトカイン放出症候群(CRS)のリスクがあるため、投与後の様子を確かめるプロトコルが導入された。3回目以降の3回は6~8時間、その後の4回は3~4時間、さらにその後は2時間、モニターするよう推奨している。日本でも米国よりは負担が軽いがモニタリングが採用されている。

EUでは、2年遅れて、第3相試験で延命効果が確認された後の今年5月に承認された。エビデンスとなったDeLLphi-304試験では、投与後モニター時間を6~8時間に留める43人と48時間モニターする209人のCRSリスクを比較したが、大差なかった。そのせいか、初回と2回目のモニタリングは6~8時間とされた。3回目以降は医師が決定、患者は当初の2回は24時間に亘り医療施設の近く(proximity)で介護者と過ごすことを推奨している。米国のほうが厳しいが、おそらくエビデンスは同じだろう。アムジェンは、第3相DeLLphi-305一次治療後維持療法試験で、初回と2回目のモニタリング時間を1~2時間と更に短縮する手法を検討している。

リンク: Imdelltraのレーベル(Drug@FDA)

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/9推アッヴィのtavapadon(パーキンソン病)
26/9推ノボ ノルディスクのNN7769(denecimig、A型血友病)
26/9推ノバルティスのRhapsido(remibrutinib、皮膚描記型慢性刺激性蕁麻疹適応拡大)
26/9/21MSDのWinrevair(sotatercept-csrk、診断1年以内の肺動脈高血圧症のHYPERION試験成績)
26/9/26IncyteのINCB000928(zlurgisertib、進行性骨化性線維異形成症)
26/9/27Elevar Therapeuticsのlirafugratinib(FGFR2融合/再編成胆道癌)
26/9/28Egetis TherapeuticsのEmcitate(tiratricol、MCT8欠乏症)
26/9/30BMSのCamzyos(mavacamten、12-17歳の症候性oHCMに適応年齢拡大)
26/10推アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬)
26/10推GSKのJemperli(dostarlimab-gxly、dMMR/MSI-H結腸癌、CNPV案件)
26/10/4MSDのWelireg(belzutifan)とエーザイのLenvima(lenvatinib)、併用で進行腎細胞腫
26/10/9ロシュのTecentriq(atezolizumab、dMMR/MSI-HステージIII結腸癌の術後療法)
26/10/10第一三共のDS-7300(ifinatamab deruxtecan、進展型小細胞性肺癌)
26/10/15ロシュのEnspryng(satralizumab-mwge、甲状腺眼症)
26/10/26GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎)
26/10/29Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎)
26/10/30Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫)
26/11推Merck KGaAのpimicotinib(腱滑膜巨細胞腫)
26/11推バイエルのBAY 2433334(asundexian、虚血性脳卒中再発予防)
26/11推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv、多発骨髄腫単剤4次治療)
26/11推Dizal PharmaceuticalのZegfrovy(sunvozertinib、EGFR ex20ins変異のあるNSNSCLC1L)
26/11推ロシュのGazyva(obinutuzumab、原発性膜性腎症)
26/11推ファイザーのTalzenna(talazoparib)とアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の併用(去勢感受前立腺癌)
26/11推Regeneron PharmaceuticalsのALN-CC5(cemdisiran、全身性筋無力症)
26/11/1Agios Pharmaceuticalのmitapivat(鎌状赤血球症適応拡大)
26/11/14Summit tderapeuticsのSMT112(ivonescimab、3G EGFR阻害剤歴のあるEGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
26/11/14CytokineticsのMyqorzo(aficamten、MAPLE-HCM試験データ)
26/11/17Mandos LLC(Beren tderapeuticsの子会社)のVTS-270(adrabetadex、ニーマン・ピック病I型)
26/11/22SavaraのMolbreevi(molgramostim、吸入用、自己免疫性肺胞蛋白症)
26/11/22Capricor tderapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/11/25サノフィのSAR402671(venglustat、III型ゴーシェ病)
26/11/27BridgeBio PharmaのBBP-418(ribitol、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)
26/11/27Zydus tderapeuticsのsaroglitazar(原発性胆汁性胆管炎)
26/11/27Nuvalent(GSKグループ)のNVL-655(neladalkib、TKI歴のあるALK+NSCLC)
26/11/28PolypidのD-PLEX100(doxycycline長期局所放出製剤、
26/11/30ロシュのRG6171(giredestrant、早期乳癌術後療法)
26/11/30Vertex Pharmaceuticalsのpovetacicept(IgG腎症)
26/11/30Cogent BioscienceのCGT9486(bezuclastinib、GIST2L)
諮問委員会
26/9/23MCGP:Grail社のGalleri多癌種早期探知血液検査


今週は以上です。

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