2026年7月26日

第1268回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • シングリックスが疫学研究でまた認知症減少と関連 
  • キイトルーダのdMMR内膜腫一次治療試験が成功 
  • ハイヤスタのグローバル黒色腫試験が成功 
  • バイオジェン、タウ発現阻害薬を第3相へ 
  • イプセン、IqirvoのALP高めPBC試験が成功 
  • GSK、抗PD-1抗体の直腸癌試験が成功 
  • GSKのP2X3受容体アンタゴニストも便益は限定的 
  • ガザイバを膜性腎症に適応拡大申請 
  • BMS、CELMod第2弾を米国でも承認申請 
  • 遅報:Cogent社、c-KIT阻害剤を進行性の肥満細胞症にも承認申請 
  • ファビハルタのIgAN適応が米国で本承認 
  • MSDの経口PCSK9阻害剤がいきなり承認 
  • レットヴィモの加速承認が本承認に切替 
  • PAM阻害剤が乳癌に承認 
  • レケンビの最初から皮下注が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


シングリックスが疫学研究でまた認知症減少と関連
(2026年6月16日発表)

GSKの帯状疱疹ワクチン、Shingrixに関しては、複数の疫学試験で認知症減少との関連性が示唆されている。今回、米国における疫学試験でも2~3割のリスク低下が見られた。GSKは今年、前向き介入的試験を開始しており、30年頃にどのような結果が出るか、注目される。

Shingrixは帯状疱疹ウイルスの糖蛋白E抗原とAS01Bアジュバントからなる遺伝子組換えワクチン。17~18年に米日欧で承認された。今回、Annal of Internal Medicine誌にブラウン大学が主導した大規模疫学研究の成果が掲載された。2017~22年に米国の介護施設5500施設に短期/長期入所した66歳以上のメディケア加入者509926人の医療記録を元に、Shingrixを一回以上(正式用法は2~6ヶ月おいて二回)接種した8843人とそれ以外の認知症診断リスクを比較したところ、リスク比は0.76だった(95%信頼区間0.69-0.84)。4年間の推定発症率は前者が18.8%、後者は24.6%だった。接種群のほうが年齢が若く健康状態が良いことを修正してもリスクが小さかった。

3月にロンチされたGSKの第4相300889試験は、フィンランドで76歳以上の認知症などを発症していない33609人を2回接種群と偽薬接種群に3対1割付けして最長10年追跡し、一回目接種後の認知症診断リスクを比較する。副次的評価項目は2回目接種の1ヶ月後以降の認知症診断リスクと、一回目接種後のアルツハイマー病診断リスク。

疫学研究は、接種している人のほうが健康意識が高く食生活や運動習慣、交友・社会参加が活発かもしれないことを十分に調整できているとは限らない。逆に、接種している人のほうが病気を恐れる理由を持っているのかもしれない。疫学研究に付き物の不確実性を考えると、24%という便益にどの程度感嘆すべきなのか、よく分からない。無作為化割付け前向き介入試験で再現されるか、注目される。

リンク: Hayesらの疫学論文抄録(Annals of Internal Medicine)
リンク: GSKの300889試験概要(ClinicalTrials.gov)

【新薬開発】


キイトルーダのdMMR内膜腫一次治療試験が成功
(2026年7月15日発表)

MSDはKeytruda(pembrolizumab)が第3相KeyNote-C93試験で主目的の一つを達成したと発表した。全身性化学療法未施行の、または、術後アジュバント療法完了後6ヶ月以内に再発した、dMMR(ミスマッチ修復機能不全)のある進行/再発内膜腫299人を組入れて、400mgを6週毎、最大18サイクル施行する便益をpaclitaxelとcarboplatinの併用を3週毎に最大6回サイクル施行する群と比較したもので、PFS(無進行生存期間、独立中央評価)を達成した。共同主評価項目の全生存期間は未成熟だが中間解析で改善する傾向が見られたとのこと。データは未発表。

抗PD-(L)1抗体はdMMR/MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)を持つ様々な腫瘍に承認されている。Keytrudaの場合、内膜腫では進行/再発内膜腫全般にpaclitaxelとcarboplatin併用・単剤維持療法と、全身性治療後に進行し治癒的切除/放射線療法が適応にならない内膜腫に、dMMR/MSI-Hの場合は単剤またはエーザイのVEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib)と併用、それ以外はLenvima併用だけが、米国で承認されている。

リンク: プレス・リリース


ハイヤスタのグローバル黒色腫試験が成功
(2026年7月14日発表)

中国系製薬会社HUYABIO Internationalは、HBI-8000が第3相進行黒色腫試験で主目的のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を達成したと発表した。別適応症で承認されている中国や日本を含めて、適応拡大/新薬承認申請に向かうのではないか。

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤。15年に中国で再発/難治末梢T細胞リンパ腫に承認され、21年には日本で再発/難治T細胞白血病リンパ腫に承認されMeiji Seikaファルマにより販売されている。HUYABIOはPD-L1の核内移行を制御する作用に注目、今回の日本も参加した303試験では、PD-L1陽性で進行後の治療をまだ受けていない患者404人を組入れて、nivolumabに加えて30mgを二週毎に経口投与する便益をnivolumab・偽薬併用群と比較した。PFSのメジアン値は各群11.7ヶ月と7.4ヶ月、ハザード・レシオは0.42と、統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を達成した(p値は未発表)。

リンク: プレス・リリース


バイオジェン、タウ発現阻害薬を第3相へ
(2026年7月14日発表)

バイオジェンは5月にBIIB080(diranersen)を第3相にステージアップすると発表したが、根拠となる第2相試験の成績をAAIC(アルツハイマー病協会国際学会)で発表した。主評価項目の用量反応相関は見られなかったが、60mgを24週毎投与した群が抗アミロイド・ベータ抗体並みの進行緩徐化作用を示した。一部報道によると、第3相の用量はまだ確定していないようだ。

微小関連タウ蛋白を標的とするアンチセンス薬。抗体医薬と異なり、細胞内のタウも抑制できることが長所だが、くも膜下投与が必要。創薬提携先のIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)から19年に世界開発商業化権を取得したもの。

今回の日本も参加したCELIA試験は、50~80歳のMCI(軽度認知障害)と軽度アルツハイマー病の患者416人を組入れて、3種類の用量用法を偽薬と比較した。被験者の69%がApoE4型(23%はホモ接合型)だった。結果は、最低用量である60mg24週毎投与群の76週CDR-SBの悪化が偽薬比26%小さかった。ADAS-Cog13で見ても42%小さかった。何れも、p値は名目値だが有意水準だった。一方、115mgを24週毎あるいは12週毎投与した群の進行抑制作用はもっと小さかった。

主な有害事象は施術関連痛や腰椎穿刺後症候群、錯乱状態(点滴後数日内に発生し、症状は軽中度で1週程度で軽快した患者が多かった由)など。

図表:BIIB080の進行抑制効果

60mg 24週毎115mg24週毎115mg12週毎
CDR-SB26%14%9%
ADAS-Cog1342%32%%29%
注:数値は偽薬比進行抑制率
出所:バイオジェン

リンク: プレス・リリース


イプセン、IqirvoのALP高めPBC試験が成功
(2026年7月13日発表)

イプセンはIqirvo(elafibranor)が後期第3相ELSPIRE試験で主目的の第52週ALP(アルカリフォスファターゼ)正常化達成化率を達成したと発表した。ALP値がやや高めの患者にも有効であることが明らかになった。

GenfitからライセンスしたPPARアルファ/デルタ作動剤。成人のPBC(原発性胆汁性胆管炎)の治療薬として24年に米欧で加速承認/条件付き承認された。エビデンスとなった第3相ELATIVE試験はALPが正常値の1.67倍以上の患者を組入れたが、今回の試験は、1倍以上1.67倍未満が対象。ELATIVE試験と同様に、標準療法薬であるUDCA(ウルソデオキシコール酸)に不十分応答には80mgを一日一回追加投与、不耐には単剤投与した。結果は、試験薬群が85%、偽薬群は23%と臨床的にも意味のある差があった。

欧米とも適応が1.67倍以上に限定されている訳ではないが、1.67倍を超える前に早期に治療を開始したい医師や患者にとっては重要なエビデンスになりそうだ。

尚、Iqirvoは本承認切替を狙い第3相臨床的アウトカム試験、ELFIDENCE(CLIN-60190-454試験)が進行中で、29年ごろに結果が出る見込み。

リンク: プレス・リリース


GSK、抗PD-1抗体の直腸癌試験が成功
(2026年7月13日発表)

GSKはJemperli(dostarlimab-gxly)が第2相直腸癌試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向かう考え。

Jemperliは19年に買収したTesaroが14年にAnaptysBio(Nasdaq:ANAB)からライセンスした抗PD-1抗体。21年以降、米欧である種の内膜腫などに承認されている。今回の日本も参加したAZUR-1試験は、ステージII/IIIのdMMR(ミスマッチ修復不全)/MSI-H(高マイクロサテライト不安定性)のある直腸癌154人を組入れた単群試験。半年間に9サイクルの単剤投与を施行したところ、中間解析で主評価項目のcCR12(12ヶ月持続的臨床的完全反応率、独立中央評価)を達成した。数値や成功認定の閾値等は記されていない。

22年のASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表された別の第2相試験では、dMMR直腸癌14人に投与したところ、全員がcCR12を達成した。FDAは23年2月にODAC(腫瘍学諮問委員会)を招集し、この試験を題材にcCR12をサロゲート・マーカーとして加速承認する当否を尋ねたところ、延命効果との相関性は確立していないものの、13人中8人が単群試験でも薬効のエビデンスとして認めるべきと前向きに評価した。但し、賛成者の間でも追跡期間を3年とかもっと長く設定すべきなどの注文があった。

FDAは25年11月にJemperliにCNPV(FDA委員長の国家的優先バウチャ)を供与した。適応は直腸癌としか開示されていないが、おそらく、今回のものだろう。dMMR/MSI-H型は結腸癌の5-10%と、決して多くはないが、新規サロゲート・マーカーとして高く評価されていることがわかる。

リンク: プレス・リリース


GSKのP2X3受容体アンタゴニストも便益は限定的
(2026年7月17日発表)

GSKはcamlipixantの第3相難治性慢性咳嗽試験の結果を公表した。一勝一敗だが全体的に便益が小さく、これ以上の開発は中止する。P2X3受容体アンタゴニストのこの疾患における開発成績は、MSDのLyfnua(gefapixant)が22~23年に日欧で承認されたが米国では承認されず、塩野義製薬のS-600918(sivopixant)やバイエルのBAY1817080(eliapixant)は後期第2相で十分な効果が見られず中止。GSKは、Lyfnuaより選択性が高く咳の抑制作用で上回り味覚異常の有害事象発生率で下回る可能性に期待して、23年にBellus Healthを20億ドルで買収して入手した。しかし、第3相CALM-1試験とCALM-2試験の結果は、50mg一日二回投与群の咳頻度は一本では偽薬を有意に下回ったがもう一本はフェール、25mg一日二回群はどちらもフェール、副次的評価項目の成績も目標ほどではなかったようだ。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ガザイバを膜性腎症に適応拡大申請
(2026年7月15日発表)

ロシュは米国で抗CD20抗体Gazyva(obinutuzumab)を原発性膜性腎症(pMN)に適応拡大申請し受理されたと発表した。この疾患の初の治療薬になる可能性がある。審査期限は未公表。欧州でも6月にEMA(欧州薬品庁)が二種変更の審査を開始した。

pMNは糸球体基底膜に免疫複合体が沈着し肥厚させる希少疾患。罹患者数は米国で9.6万人、EUで8.8万人と推定されている。ロシュは第3相MAJESTY試験に142人を組入れて2年間治療したところ、完解率が37%とtacrolimus群の6%を有意に上回った。完解の定義はuPCR(尿蛋白クレアチニン比)が0.3以下、かつ、eGFR(推定糸球体濾過量)が安定的であること。

リンク: プレス・リリース


BMS、CELMod第2弾を米国でも承認申請
(2026年7月13日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはCC-92480(mezigdomide)を米国で再発/難治多発骨髄腫用薬として承認申請し受理された。審査期限は27年5月13日。同社がCELMod(セレブロンE3リガーゼ・モジュレータ)と呼ぶ一連の小分子経口剤の一つで、セレブロンに結合して転写因子を零落させ、腫瘍細胞の増殖抑制・アポトーシス誘導や免疫賦活を齎す。日本も含む施設でlenalodomideと抗CD38抗体による治療歴を持ち最終治療抵抗性の患者を組入れた第3相SUCCESSOR-2試験で、Kyprolis(carfilzomib)及びdexamethasoneと併用するMeziKdレジメンのPFS(無進行生存期間)を併用しないKdレジメンと比較したところ、中間解析でハザード・レシオが0.48、p<0.0001となった。メジアン値は各群18ヶ月と8.3ヶ月。全生存期間の解析は未成熟。治療時発現有害事象がG3/4のものは各群83%と56%で発生、G5は3%(8人)と1%(1人)だった。日本でも6月に承認申請が受理された。

同社は別のCELMoDであるCC-220(iberdomide)も2月に承認申請している。JNJ/ジェンマブの抗CD38抗体Darzalex(daratumumab)及びdexamethasoneと併用するレジメンで、第3相EXCALIBER-RRMM試験でVelcade(bortezomib)をこの2剤と併用する代表的なレジメンとMRD(微小残存病変陰転率)を比較したものがエビデンス。

リンク: プレス・リリース


遅報:Cogent社、c-KIT阻害剤を進行性の肥満細胞症にも承認申請
(2026年6月30日発表)

Cogent Biosciences(Nasdaq:COGT)はCGT9486(bezuclastinib)を複数の用途で並行的に開発しているが、進行性全身性肥満細胞症にも承認申請した。81人の患者に投与したAPEX試験の第2部で、ORR(客観的反応率:部分反応以上)が49%だった。

昨年12月の初承認申請は非進行性の全身性肥満細胞症に関するもので、審査期限は今年12月30日。次の申請はimatinib歴のある消化管間質腫瘍で、優先審査を受けるため審査期限は11月30日。今回は3番目の目標適応症となる。

Plexxikon社(2012年に第一三共が買収)から2011年にライセンスしたc-KIT阻害剤。Unim Therapeuticsと合併して逆上場し、2020年に現社名に社名変更した。

リンク: プレス・リリース

【承認】


ファビハルタのIgAN適応が米国で本承認
(2026年7月17日発表)

ノバルティスは、FDAがFabhalta(iptacopan)の成人原発性IgA腎症における適応を本承認したと発表した。24年に第3相APPLAUSE-IgAN試験の第9月UPCR(尿蛋白クレアチニン比)という代理マーカーに基づいて加速承認されたが、同試験の24ヶ月eGFR(推算糸球体濾過率)解析で臨床的便益が確認されたため、本承認切替が実現した。試験薬群は年率で30.mL/分/1.73m2低下に留まり、偽薬群の5.7mL/分/1.73m2低下より有意に小さかった。

Fabhaltaは経口可逆的B因子阻害剤。米欧日で発作性夜間ヘモグロビン尿症やC3腎症に承認されているが、IgA腎症は米国だけ。

リンク: プレス・リリース


MSDの経口PCSK9阻害剤がいきなり承認
(2026年7月16日発表)

FDAはMSDのLipfendra(enlicitide)を成人の高脂血症(ヘテロ接合性家族性高脂血症を含む)におけるLDL-C治療薬として承認した。20mgを一日一回、経口投与する。LDL-C受容体の零落に関わるPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)を標的とする薬はRegeneron Pharmaceuticals/サノフィのPraluent(alirocumab)など複数あるが、経口剤は初めて。生物学的利用率は1%と低く、食事の30分以上前に服用する。食後8時間以上経ってから服用、と一部で報じられているが、レーベルには記されていない。

アテローム硬化性心血管疾患を合併、または高リスクの患者(多くはスタチンなどを同時使用)を組入れた第3相試験では24週間の治療でLDL-C値がベースライン値(96mg/dL)から偽薬調整後で56%低下した。ヘテロ接合性家族性高脂血症の第3相ではベースライン値(119mg/dL)が同59%低下した。心血管イベントを抑制する作用は日本も参加しているCORALreef Outcome試験で検討しており2029年ごろに結果判明する見込み。

有害事象は前者の試験では偽薬群並み、後者では下痢や眩暈の発生率がやや高かった。一部報道によると、問屋取得価格は静注用PCSK9阻害剤の半値水準に設定される模様。

欧州ではEMA(欧州薬品庁)が3月26日に承認審査を開始したが、米国は、少なくとも当方は、申請していたとは知らなかった。数年前に、超大型薬を狙い撃ちで価格を引き下げる制度に対応するため発売を遅らせることを検討、と報じられたこともあり、欧米同時申請とは限らないと想像していた。承認通知によると申請は6月22日なので、24日後に承認されたことになり、CNPV(FDA前委員長の国家的優先バウチャ)案件の中では最速と推測される。

リンク: プレス・リリース


レットヴィモの加速承認が本承認に切替
(2026年7月14日発表)

FDAはイーライリリーのRetevmo(selpercatinib)のRET融合陽性局所進行/転移固形癌における加速承認を本承認に切替えたと発表した。従来同様に、全身治療に不応、再発、または満足のいく代替的治療法が無い場合に適応になる。22年の加速承認時のエビデンスは、LIBRETTO-001試験の該当41人におけるORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が44%、メジアン反応持続期間は24.5ヶ月というものだったが、今回、75人において47%、24.5ヶ月にアップデートされた。

Loxo Oncologyを買収して入手したRET阻害剤。他に、RET融合変異のある、局所進行/転移非小細胞性肺癌、進行/転移甲状腺髄様腫、放射性ヨード抵抗性甲状腺癌に承認されている。

リンク: プレス・リリース


PAM阻害剤が乳癌に承認
(2026年7月14日発表)

FDAは、米国ミネアポリス州の新興製薬会社、Celcuity(Nasdaq:CELC)のRevtorpyk(gedatolisib)を局所進行/転移乳癌用薬として承認した。成人のホルモン受容体陽性、her2陰性、PIK3CA変異陰性の乳癌で、局所進行/転移後に内分泌療法薬による一次以上の治療を受けたが進行した患者に、fulvestrant(palbociclibを追加可)と併用で180mgを28日サイクルで第1日、8日、15日に30分点滴静注する。第3相VIKTORIA-1試験のPIK3CA野生型コフォートで、3剤併用群のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン9.3ヶ月とfulvestrantだけの群の2.0ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.24だった。2剤併用群は7.4ヶ月、偽薬比ハザード・レシオは0.33。副次的評価項目である全生存期間の解析は未成熟。警告注意は口内炎、皮膚有害事象、高血糖、胚胎毒性。

21年にファイザーからライセンスした、PAM(PI3K/Akt/mTOR)経路の入り口と出口に作用する小分子薬。上記試験のPIK3CAに変異のある患者を組入れたコフォートも2剤併用、3剤併用ともPFS延長に成功しており、適応拡大申請の予定。欧州は26年第4四半期に承認申請する予定で、販売はアウトライセンスする考えのようだ。

リンク: プレス・リリース


レケンビの最初から皮下注が承認
(2026年7月13日発表)

FDAはエーザイの軽度認知障害/早期アルツハイマー病用薬Leqembi(lecanemab-irmb)の皮下注用製剤を、治療開始時から使うことを承認した。このLeqembi IQLIKは25年8月に承認されたが、適応は静注点滴用製剤による治療を18ヶ月以上受けた患者に限定されていた。今回の承認で、治療開始時から自己注または介護者投与が可能になった(おそらく初回は医療施設で施行するのだろうが)。エビデンスは静注用薬との生物学的同等性と、アミロイド・プラクの減少が同程度であったこと。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】



PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
諮問委員会
26/7/23-24薬局調剤諮問委員会(PCAC):7種類のペプチド薬について薬局調剤を合法化する件
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)
26/7/30CTGTAC:ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、黒色腫)


今週は以上です。

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