2026年7月4日

第1266回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • ロシュのKRAS-G12C阻害剤が既存薬に勝つ 
  • BeOne社、ブルキンザの未治療MCL試験が成功 
  • エプキンリ、レブラミドを併用したDLBCL二次治療試験が成功 
  • フリードライヒ運動失調症用薬のローリング申請に着手 
  • VistaGen、点鼻ステロイドの第3相社交不安障害試験がまたフェール 
  • ロシュ、エンスプリングを甲状腺眼症に適応拡大申請 
  • Sarepta、二種類のDMD用薬の本承認切替を申請 
  • Replimune、rHSV-1療法を再申請 
  • SOBIの新規痛風薬は審査完了に 
  • Lantheusの新規造影剤も審査完了に 
  • FDA、Capricor社のDMD用薬を諮問委員会に上程へ 
  • Praxis社、抗癲癇薬の審査期限が延期に 
  • CRISPR技術を用いた薬が5~11歳も利用可能に
  • GvHDが起き難い造血幹細胞移植用薬が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


ロシュのKRAS-G12C阻害剤が既存薬に勝つ
(2026年7月2日発表)

ロシュは次世代KRAS-G12C阻害剤RG6330(divarasib)が第3相先輩対照試験で主目的などを達成したと発表した。承認申請に向かう考え。この日本も参加したKrascendo 1試験は、KRAS-G12C変異を持つ治療歴のある進行非小細胞性肺癌338人を対象に、一日一回経口投与する便益を既承認の第1世代品であるsotorasib(アムジェンのLumakras)またはadagrasib(BMSのKrazati)を投与する群とオープン・レーベルで比較したもの。主評価項目のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を見た。副次的評価項目の全生存期間も中間解析で有意差が出た。安全性に関する新規シグナルは見られなかった由。

このほかに初めて治療を受けるG12C変異型進行非小細胞性肺癌を対象に抗PD-1抗体pembrolizumabと併用する便益をpembrolizumab、pemetrexed、白金薬の3剤併用と比較するKrascendo 2試験の結果が28年に、切除術を受けたG12C変異非小細胞性肺癌のアジュバント療法試験であるKrascendo 3試験の結果が32年ごろに、判明する見込み。

LumakrasとKrazatiは第2相試験のORR(客観的反応率)と反応持続期間に基づき米国で加速承認されたが、前者はdocetaxel対照市販後薬効確認試験でメジアンPFSの群間差があまり大きくなく全生存期間は検出力不足とは言え1.01と今一つであったことから、改めて市販後薬効確認試験を実施する方向。後者は市販後薬効確認試験でメジアンPFSが5.5ヶ月とdocetaxel群の3.8ヶ月を上回り、ハザード・レシオも0.58とLumakrasの試験の0.66と見比べても良好だったが、このデータに基づくEU初承認から2年以上経った今でも米国では本承認切替が承認されていない。米国の対象患者数は年2~3万人と肺癌の割には少ないこともあり、両剤とも売上高が伸び悩んでいる。

krasは薬で働きかけるのが困難な、undruggableな標的と言われていたが、やっと上記二剤が実用化された。中間で延命効果が確認されたとなると相応に好成績が期待され、次世代品の登場で普及が進むのか、データ発表が待ち望まれる。

リンク: プレス・リリース


BeOne社、ブルキンザの未治療MCL試験が成功
(2026年6月30日発表)

ビーワン・メディシンズはBTK阻害剤Brukinsa(zanubrutinib)が第3相MANGROVE試験の中間解析で主目的を達成したと発表した。26年下期にグローバルな適応拡大申請を行う考え。

この日本も参加した試験は、未治療の成人のマントル細胞腫(MCL)を対象に、rituximabと併用で、80mgカプセル2錠ずつを一日二回、経口投与する便益をBRレジメン(bendamustineとrituximabの併用)と比較した。主評価項目であるPFS(無進行生存期間、盲検評価委員会方式)のハザード・レシオが0.57と、大変良い結果になった。副次的評価項目の全生存期間は未成熟だが改善傾向が見られるとのこと。安全性は過去と同様だった。

本剤は19~21年に米欧でマントル細胞腫の二次治療に承認、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)などの用途で日本でも24年に初承認された。このほかに、米国の場合で辺縁帯リンパ腫やワルデンストレームマクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫の再発治療にも承認されている。

リンク: プレス・リリース


エプキンリ、レブラミドを併用したDLBCL二次治療試験が成功
(2026年6月29日発表)

アッヴィはEpkinly(epcoritamab-bysp)が第3相EPICOR DLBCL-4試験で主目的を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。この日本も参加した試験は、抗CD20抗体を含む一次以上の治療歴を持ち、自家幹細胞移植がフェール、再発、または不適でCAR-T療法が不可能な再発/難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫360人を組入れて、Epkimly(28日サイクルで第1-3サイクルは毎週、第4サイクル以降は4週毎投与)とRevlimid(lenalidomide、28日サイクルで21日間反復投与)を最大12サイクル施行する群と、R-GemOXレジメン(rituximab、gemcitabine、oxaliplatinの併用、4サイクル)をオープン・レーベルで比較した。主評価項目はPFS(無進行生存期間)。追跡打切り例の処理に関してFDAと海外規制機関が異なった方法を示唆した模様だが、米国向けハザード・レシオは0.40、海外向けでも0.44と、似たような結果になった。

主解析や副次的解析の対象ではないが、おそらく参考群として、Epkinlyだけ12サイクル投与する群も設定されているが、プレス・リリースには言及されていない。

Epkinlyはジェンマブが創製した抗CD3xCD20二重特異性抗体。日米では共同で、、それ以外の地域ではアッヴィが、開発販売している。23年に米欧日で再発性DLBCLに単剤投与が承認され、ある種の濾胞性リンパ腫にも3次治療単剤投与が承認、再発治療Revlimid及びrituximab併用が米国で承認、日欧でも申請中。

リンク: プレス・リリース


フリードライヒ運動失調症用薬のローリング申請に着手
(2026年6月29日発表)

米国のLarimar Therapeutics(Nasdaq:LRMR)は米国でCTI-1601(nomlabofusp)のローリング承認申請に着手したことを明らかにした。フリードライヒ運動失調症の治療薬で、患者で欠乏しているフラタキシン(FXN)の前駆体を一日一回皮下注するもの。40人程度の小規模な試験の、皮膚FXN量に基づき、加速承認を求める。

このサロゲート・マーカーは、FXN変異を持つが無症状の患者では正常値(8.2pg/mcg)の50%以上を維持している。1年間の治療で9人中9人の数値が正常値の50%超に達した。mFARS(修正フリードライヒ運動失調症評価尺度、n=13)は1.0点改善、自然歴データの1.6点悪化を上回った。事前相談でFDAはこれらのデータに基づく申請を許容したとのこと。但し、安全性データベースが少ないことは要検討事項と回答した。

米国のフリードライヒ運動失調症患者数は推定5000人。フラタキシン欠乏を改善する薬はまだない。酸化ストレスに対応するパスウェイを活性化すべきNrf2の発現低下が見られ、バイオジェンのNrf2活性化剤、Skyclarys(omaveloxolone)が23~24年に米欧で承認されている。臨床試験(n=82)で48週mFARSが1.55点改善し、偽薬群の0.85点悪化を有意に上回った。これと比べると、nomlabofuspの開発プログラムは規模の面でも、対照試験でない点でも、見劣りする。

リンク: プレス・リリース


VistaGen、点鼻ステロイドの第3相社交不安障害試験がまたフェール
(2026年6月30日発表)

米国カリフォルニア州のVistaGen(Nasdaq:VTGN)は、PH94B(fasedienol)点鼻スプレーの第3相PALISADE-4試験がフェールしたと発表した。SAD(社交不安障害)の患者238人を組入れて聴衆の前でスピーチさせて人為的に発症させ、治療効果を検討したが、SUDS(Subjective Units of Distress Scale)の低下が9.5点と偽薬群の11.4点を下回り、副次的評価項目もフェールした。

このような場合のベンチャー企業の恒例である事後的サブグループ分析で、被験者の過半を占める123人の大変重い(LSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が95以上)患者群では12.8点対3.7点、群間差9.1点、名目p=0.036と好都合な数値が出た。同社は、このLSASを主評価項目とする試験を実施して、第3相を4本実施して唯一成功したPALISADE-2試験と合わせて、承認申請する方向でFDAと相談する考え。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ロシュ、エンスプリングを甲状腺眼症に適応拡大申請
(2026年6月30日発表)

ロシュは米国でEnspryng(satralizumab-mwge)を甲状腺眼症に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年10月15日。二本の第3相試験(一本は日本も参加)で4週毎皮下注する便益を偽薬と比較したところ、24週奏効率(眼球突出が2mm以上減少し、反対側の眼球は2mm以上突出しない)が一本は49%対31%、もう一本は53%対23%だった。

グループの中外製薬が創製した抗IL-6受容体リサイクリング抗体。20~21年に日米欧でNMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)に承認され、適応拡大も進展している。

リンク: プレス・リリース


Sarepta、二種類のDMD用薬の本承認切替を申請
(2026年6月30日発表)

Sarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬として米国で加速承認された2種類のエクソン・スキップ薬の本承認切替を申請し受理されたと発表した。審査期限は27年2月28日。

同社のエクソン・スキップ薬はExondys 51(eteplirsen)、Amondys 45(casimersen)、Vyondys 53(golodirsen) が、ジストロフィンのmRNAの、夫々、エクソン51、45、53の発現を止めることで治療可能なDMDの治療薬として承認されている。いずれも加速承認なので市販後薬効確認試験を成功させ本承認に切替える必要がある。

今回、切替申請されたのはAmondys 45とVyondys 53。第3相ESSENCE試験に6~13歳の患者225人を組入れて、患者のタイプに応じてどちらかの薬または偽薬に2対1割付けして96週間治療し、4段昇段速度のベロシティを比較した。群間差は0.06歩/秒、p=0.309とフェールしたが、COVID-19流行期に治療した患者57人を除外した解析では、0.11歩/秒、p=0.09と上向いた。同社はFDAとの相談を踏まえて、リアル・ワールド・スタディのデータと共に提出し、本承認を求めた。

同社のExondys 51(eteplirsen)はCDER(小分子薬等の承認審査を担当)のヘッドであったJanet Woodcockの後押しで承認されたが、承認に批判的だったVinay Prasadが25年にCBERのディレクターに就任したことで緊張が走った。しかし、今年4月にPrasadが退任、後任に指名されたKatherine Szarama代行もFDA長官の交代後に短期間で退任と、上層部の人員が一新されたことで、賛否両論ありそうな新薬の見通しがもう一層不透明を上塗りしたような状況にある。今回も、フェールはフェールなので、見通しは難しい。当局は希少難病であることを考慮するだろうが、患者や医療保険は、便益が明確でない薬に数十万ドルを払うことを止む無しと受け止めるだろうか?

リンク: プレス・リリース


Replimune、rHSV-1療法を再申請
(2026年6月26日発表)

米国のReplimune Group(Nasdaq:REPL)はRP1(vusolimogene oderparepvec)の承認申請を再提出し受理されたと発表した。クラス1審査で、審査期限は26年8月2日。FDAは7月に諮問委員会に上程する考え。昨年7月に審査完了通知を受領したが、FDA上層部が次々と退任したことで命運が変わるかどうか、注目される。

HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)の遺伝子にGALV(テナガザル白血病ウイルス)由来の遺伝子やGM-CSFの遺伝子を導入して殺腫瘍力や免疫原性を増強した、ウイルス療法。抗PD-1抗体に応答しなかった黒色腫患者140人を組入れてOpdivo(nivolumab)と併用する効果を検討した第2相IGNYTE試験でORR(客観的反応率、RECIST 1.1ベース独立中央評価)が33%、メジアン反応持続期間は35ヶ月超だった。市販後薬効確認となるべき第3相IGNYTE-3試験が進行中で、抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用/順次投与に不応または抗CTLA-4抗体不適なステージIIIb/IV黒色腫を組入れて、Opdivo(nivolumab)と併用する便益をOpdualag(nivolumabと抗LAG3抗体relatlimab-rmbwの合剤品)など医師が選んだ治療法と比較している。

24年に第2相のデータで加速承認を申請したが、デザインが不適切などの理由で審査完了通知を受領した。申請前や申請中の会議では議論に上がらなかった事項も指摘されたもようであり、一説によると、審査担当者等は前向きだったが上層部が反対した。同社は25年10月に第3相の一部データなどを提出して再申請し、FDA側は最初の審査と異なるメンバーが担当したが、結論は変わらなかった。Opdivo単剤投与とどの程度違うのか、対照試験が実施されていないため評価できないこと、PFS(無進行生存期間、治験医評価)は事前に設定された評価項目ではないことなどの指摘を受けた。

連邦政府が議会の承認を得て任命するFDAの上層部は、25年12月以降、CDER(小分子薬担当)のヘッドであるRichard PazdurやCBER(生物学的製剤棟を担当)ヘッドのVinay Prasad、そして今年5月にはMarty MakaryFDA長官まで、退任した。HHS(米国連邦保健福祉省)長官のRobert F. Kennedyやトランプ大統領の不興を買ったためと報じられている。RP1の承認に反対した権力者たちの退任は当社に幸いするかもしれない。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


SOBIの新規痛風薬は審査完了に
(2026年6月26日発表)

SOBI(STO: SOBI)は米国でNASP(nanoecapsulated sirolimus plus pegadricase)を成人の管理不良痛風用薬として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。生物学的成分の生産管理戦略や生産委託先の問題が原因で、薬効や安全性に関する言及はなかった由。

mTOR阻害剤を投与した後にPEG化ウリカーゼを投与することで後者に対する抗体が生成されるのを抑制し、作用期間延長を実現するもの。第3相では28日毎に投与した。米国のSelecta Biosciences(Nasdaq:SELB)から中国外の製造開発商業化権をライセンスした。

リンク: プレス・リリース


Lantheusの新規造影剤も審査完了に
(2026年6月26日発表)

米国のLantheus Holdings(Nasdaq:LNTH)はLNTH-2501(Gallium-68 edotreotide)を成人小児のソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍におけるPET造影診断剤として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。生産委託先におけるunresolved conditionを指摘された。良く分からない表現だが、もしかしたら、査察時観察事項があったがまだ正式な書簡を送付していないため製造施設の欠陥が理由とは書けないとか、あるいは、第2次トランプ政権による政府職員リストラの影響で査察が遅れているとか、いう話かもしれない。

リンク: プレス・リリース


FDA、Capricor社のDMD用薬を諮問委員会に上程へ
(2026年6月29日発表)

FDAは今年7月29日にCTGTAC(細胞、組織、及び遺伝子療法諮問委員会)を招集し、Capricor Therapeutics(Nasdaq:CAPR)のCAP-1002(deramiocel)について意見を聞くことを発表した。

本件は、昨年6月に諮問委員会招集予定が事前縦覧項目として連邦官報に掲載されたことがあるが、実現せず、翌月、審査期限の1ヶ月以上前に、審査完了通知が送付された。当時のCBER(生物学的製剤などを担当)のヘッドであったVinay Prasadが承認に反対したのではないかと報じられている。その後、第2次トランプ政権下でコンセンサスや担当審査官と異なる判断を乱発した政治的任命者が次々と退任し、評価が一変する可能性が生じた。とはいえ、組織としての連続性の建前を守るためには、それなりに大きな根拠を用意する必要がある。今回の諮問委員会も、デュー・プロセス的な手段に過ぎないのかもしれない。あるいは、旧上層部の下、殆どストップしていた諮問委員会が増え始めており、前回、上層部に握り潰された諮問委員会を蘇らせただけかもしれない。

CAP-1002は他家心臓球由来細胞療法。同社は第2相HOPE-2試験で第12月PULが偽薬比有意に改善したと発表したが、FDAの25年7月の審査完了通知によると、計画通りの解析はフェールしており、同社は正規分布などを前提としないノンパラメトリック検定に基づき統計的に有意と主張していた。今回の主エビデンスは第3相で第12月PUL(Performance of the Upper Limb)総スコアの進行が偽薬比54%小さく、p=0.029だったことなので展望は改善しているはずだが、会社側の発表を鵜呑みにしてよいものか、躊躇もある。

リンク: プレス・リリース


Praxis社、抗癲癇薬の審査期限が延期に
(2026年6月29日発表)

米国のPraxis Precision Medicines(Nasdaq:PRAX)はPRAX-562(relutrigine)を変異SCN2A/SCN8A型のDEEs(発達性およびてんかん性脳症)の治療薬としてFDAに承認申請し優先審査を受けているが、審査期限が9月27日から12月27日に延期された。既存の臨床試験データの追加的感度分析を提出したことが申請内容の重大な変更と見做されたため。追加的臨床試験の必要性や、安全性や製造に関する懸念は言及されていない由。

持続性ナトリウム電流阻害剤。SCN2A(電位依存性ナトリウム・チャネルNaV1.2をコード)やSCN8A(同NaV1.6をコード)に変異を持つ2歳以上の患者を組入れたEMBOLD試験の仮説検証的コフォート(76例)の中間解析で第16週の癲癇頻度が偽薬比大きく低下したためデータ監視委員会が中止を勧告した。偽薬比53%低下、どちらの変異型にも同様な成果を示した由。

米国のSCN2A/8A型DEEs患者数は推定5000人。第3相は他のタイプも含めたEMERALD試験が進行中。

リンク: プレス・リリース

【承認】


CRISPR技術を用いた薬が5~11歳も利用可能に
(2026年7月1日発表)

Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)はFDAがCasgevy(exagamglogene autotemcel)の適応年齢下限をこれまでの12歳から5歳に引き下げたと発表した。血管閉塞クリーゼを繰り返す鎌状赤血球病と輸血依存ベータ・サラセミアを治療する世界初のCRISPR/Cas9療法薬で、患者から採取したCD34陽性細胞の遺伝子を編集し、本来なら胎児期や新生児期にしか発現しない胎生ヘモグロビン(HbF)などが発現されるように改変した上で患者に戻すもの。23~24年に英米欧で承認された。オリジンはCRISPR Therapeutics(Nasdaq:CRSP)で、Vertexは15年に6品に関する共同研究を開始し、2年後に本剤をライセンスした。

Casgevyは25年11月にCNPV(FDA長官の国家的優先バウチャ)の対象に選定された。元々、不透明なプログラムが、立ち上げた人たちの退任で更に不透明になっており、もしかしたら、今回の件が対象だったのかもしれないが、FDA側からは特に発表もないので藪の中だ。

リンク: プレス・リリース


GvHDが起き難い造血幹細胞移植用薬が承認
(2026年6月30日発表)

FDAはOrca Bio(未上場)のTregzi(allogeneic regulatory T cell immunotherapy with HSPC and T cells-vldq)を成人血液癌のHSPC(造血幹・前駆細胞)移植用薬として承認した。通常のHSPCを移植する前に制御的T細胞を投与することで、深刻な合併症である慢性移植片宿主病(cGvHD)や死亡のリスクを抑制する。警告注意事項は移植不全、GvHD、点滴反応など。

近親など適合ドナーの末梢血由来のHSPCと、制御的T細胞、そして通常のT細胞を順に投与し、2日後と3日後に通常T細胞を再投与するもの。第3相Precition-T試験で急性骨髄性白血病などの患者187人を組入れて、骨髄破壊的前処理後にTregzoまたはmethotrexateをtacrolimusと共に投与したところ、cGVHDなき生存のハザード・レシオが0.26、12ヶ月無cGVHD生存率が78%対38%と、大変良い結果が出た。副次的評価項目の全生存は未成熟だがハザード・レシオ0.49、p=0.11823、1年生存率94%対83%だった。

報道によるとWAC(問屋取得価格)は42.8万ドル。

リンク: FDAのプレス・リリース
リンク: Orca Bioのプレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】



PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/3Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤)
26/7/7Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症)
26/7/17Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌)
26/7/23Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫)
26/7/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/17ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
諮問委員会
26/7/23-24薬局調剤諮問委員会(PCAC):7種類のペプチド薬について薬局調剤を合法化する件
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)


今週は以上です。

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