【ニュース・ヘッドライン】
- モデルナ、抗癌ワクチンの第3相が成功
- 胃バイパス術後低血糖の第3相が成功
- ヒフデュラの自己免疫性筋炎試験が成功
- アストラゼネカ、3剤の第3相結果を発表
- EyePoint社の加齢性黄斑変性試験は主目的を達成できず
- 糖原病Ia型の遺伝子療法が承認
- 異所性骨化の画期的新薬が承認
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【新薬開発】
モデルナ、抗癌ワクチンの第3相が成功
(2026年8月19日発表)
モデルナとMSDは、癌治療用ワクチンのmRNA-4157/V940(intismeran autogene)が第3相INTerpath-001の中間解析で主目的等を達成したと発表した。数値は未発表。承認申請に向けて当局と協議する考え。
このワクチンは、患者自身の癌細胞や血液を次世代シーケンサーで分析して最大34のネオアンチゲン(遺伝子変異によって生じた抗原)を発見し、一本のmRNAにエンコードしたものをリピッド・ナノパーティクルに封入したもの。日本も参加した今回の試験は、ステージIIBからIVまでの皮膚黒色腫を全摘した全身性治療未経験の患者のアジュバント療法として、共同開発販売パートナーであるMSDの抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)に追加する便益を検討するために、1137人を偽薬追加群と2対1割付けしてRFS(無再発生存期間、治験医評価)を比較した。Keytrudaは6週毎に9回点滴静注、mRNA-4157は1mgを3週毎に9回筋注した。
mRNA-4157追加群は統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を見た。副次的評価項目ではDMFS(無遠隔転移生存期間)も統計的有意且つ臨床的意味のある差が見られた。全生存期間は継続追跡する。
ステージIIIbとIVの患者だけを組入れた後期第2相KEYNOTE-942試験ではRFSのハザード・レシオが0.56、副次的評価項目のDMFSは0.347と好ましい方向を指す結果が出ていた。
尚、MSDは同様なセッティングにおけるKeytrudaと同社の抗TIGHT抗体MK-7684(vibostolimab)の併用試験、KEYVIBE-010も実施していたが、24年5月に独立データ監視委員会が無益認定し中止となった。
リンク: プレス・リリース
胃バイパス術後低血糖の第3相が成功
(2026年8月18日発表)
Amylyx Pharmaceuticals(Nasdaq:AMLX)はavexitideが第3相Lucidity試験で主目的等を達成したと発表した。年内に米国で承認申請する考え。
代表的な胃バイパス術の一つであるルーワイ胃バイパス術を受けた後に低血糖症をしばしば発症するようになった患者78人を試験薬群(90mgを朝食の1時間以上前に皮下注)と偽薬群に3:2割付けして16週間投与し、中重度低血糖イベントの発症リスクを比較したところ、試験薬群は55%小さかった(p<0.001)。すべての副次的評価項目も達成。有害事象は下痢や注射箇所の紅斑/皮下出血などで、体重変動や重度有害事象は見られなかった。
exendin-4系のGLP-1作用剤は二型糖尿病などの治療薬として承認されているが、exendinのアミノ酸の一部(9-39)だけからなるavexitideはGLP-1受容体の競合的阻害作用を持つ。経営破綻したEiger BioPharmaceuticalsの資産を24年に3510万ドルで落札して入手した。
FierceBiotechの報道によると、同社は日本市場も注目しているようだ。
リンク: プレス・リリース
リンク: FierceBiotechの報道(日本時間8/19アクセス)
ヒフデュラの自己免疫性筋炎試験が成功
(2026年8月17日発表)
オランダのアルジェニクスは、Vyvgart Hytrulo(efgartigimod alfa and hyaluronidase-qvfc)が第2/3相自己免疫性筋炎試験で主目的を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。
同薬は全身性筋無力症など複数の適応を持つ抗胎児性Fc受容体抗体の皮下注用製剤。今回の日本も参加したAlkivia試験は、IMNM(免疫介在性壊死性ミオパチー)または皮膚筋炎の成人を組入れて週一回皮下注を52週間反復し、合計改善スコア(TIS)を比較したところ、47.95点と偽薬群の32.56点を15.4点上回った。IMNMサブグループでは45.05点対30.24点、群間差14.8点で統計的に有意、皮膚筋炎も51.51点対36.96点と良さそうな数値だが検出力不足で有意水準には達しなかったようだ。両サブグループとも、合計改善スコアに含まれる6項目すべての評価が改善した。
競合はRoivant Therapeuticsがファイザーから導入したJAK1/TYK2阻害剤brepocitinibを今年2月に米国で皮膚筋炎治療薬として承認申請している。
リンク: プレス・リリース
アストラゼネカ、3剤の第3相結果を発表
(2026年8月17日発表)
アストラゼネカは3剤の第3相試験結果を同日に発表した。
同社が共同開発販売している第一三共の抗her2抗体薬物複合体、Enhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki)は、第3相DESTINY-Lung04試験で主目的を達成した。欧米アジアの施設で、her2の遺伝子のエクソン19または20に変異を持つ切除不能、局所進行性、または転移性の非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療を受ける454人をEnhertu群と標準療法群(白金薬、pemetrexed、及び抗PD-1抗体pembrolizumabの併用)に無作為化割付けしてPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を比較したところ、有意に上回った。
Enhertuはher2高発現/変異のある様々な腫瘍に承認されている。非小細胞性肺癌では22~23年に米日欧で二次治療に適応拡大した。米国は加速承認なので、今回の成功で一次治療の承認と二次治療の本承認切替が望めそうだ。
リンク: プレス・リリース
中国のHutch-medから中国や海外での販売権を取得した経口c-MET阻害剤、savolitinibは、中国でMET変異/増幅を持つ非小細胞性肺癌や胃/胃食道接合部腺腫の一部に承認されているが、今回、グローバル第3相SAFFRON試験が成功した。アストラゼネカの変異EGFR阻害剤Tagrisso(osimertinib)による治療に応答しなかったMET過剰発現/増幅EGFR変異非扁平上皮非小細胞性肺癌におけるPFS(無進行生存期間)や全生存期間を白金薬ベース化学療法群と比較したところ、どちらも統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。
Tagrissoのような第3世代EGFR阻害剤は有効だが3人に一人はMET過剰発現/増幅による抵抗性が生じる。中国ではTagrissoだけでなく他の第3世代EGFR阻害剤歴も含む第3相SACHI試験が25年に中間解析で成功認定され、同年6月に適応拡大が承認されている。中間解析でPFSのハザードレシオが0.4、全生存期間は未成熟だが0.84と良さそうなものだった。
リンク: プレス・リリース
一方、抗PD-1・CTLA-4二重特異性抗体のMEDI5752(volrustomig)は、第3相eVOLVE-Lung02試験の打ち切りが決まった。この日本も参加した試験はPD-L1発現が50%未満の転移非小細胞性肺癌の一次治療を受ける患者895人を組入れて、化学療法4サイクルと併用で750mgを3週毎、最大2年間投与する便益を、化学療法とpembrolizumabの併用群と比較したもの。主評価項目はPD-L1陰性(<1%)サブグループにおけるPFSと全生存期間。中間解析で独立データ監視委員会がどちらも無益認定した。
抗CTLA-4抗体は毒性が比較的高く、承認されている薬は化学療法と同様に数ヶ月の投与で終了する。本剤はデュアル・アクション薬なので長期間作用する点が異なる。
volrustomigの第3相は、胸膜中皮腫の標準療法アドオン試験や切除不能局所進行性頭頚部扁平上皮腫の同時化学放射線療法維持療法試験も進行中だが、成否判明は28年以降の見込みだ。
リンク: プレス・リリース
EyePoint社の加齢性黄斑変性試験は主目的を達成できず
(2026年8月17日発表)
米国マサチューセッツ州のEyePoint(Nasdaq:EYPT)は、滲出型加齢性黄斑変性(wAMD)におけるDuravyu(vorolanib)の便益をRegeneron Pharmaceuticals/サノフィのEylea(aflibercept)と比較した第3相LUGANO試験で非劣性解析がフェールしたと発表した。株価は暴落。wAMDと関係のない15字以上の視力低下が生じた患者(試験薬群211人中9人)を除くと名目p値が0.0096となっている由。同社によるとafliberceptの過去の試験では3~5%で発生したとのことで、今回の試験でゼロだったのが外れ値と考えることもできるようだ。副次的評価項目は達成したとのこと。
第3相はLUCIA試験も進行中で26年第4四半期に結果判明する見込み。糖尿病性黄斑浮腫の第3相2本も27年第4四半期に開票の見込み。Betta Pharmaceuticalsの関連企業であるEquinox Sciencesから大中国以外での権利を取得したもの。
リンク: プレス・リリース
【承認】
糖原病Ia型の遺伝子療法が承認
(2026年8月19日発表)
Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)は、FDAがGenglycos(pariglasgene brecaparvovec-opnr、開発コードDTX401)を8歳以上の小児と成人の糖原病Ia型用薬として加速承認したと発表した。既存の治療法であるコーンスターチの投与量を抑制することができる。警告注意事項は過敏反応/点滴反応、免疫調停肝毒性、副腎不全、AAVベクターの統合と腫瘍原性リスク。臨床試験でALT/AST上昇が7割の患者で発生しており、重度肝線維症や肝硬変は禁忌。本承認取得の条件である市販後コミットメントは50人の市販後症例と抗AAV8抗体を持ちGenglycosの治療を受けられない20人を非盲検下で追跡する。
糖原病1a型は米国の推定患者数が1500~2500人、商業事業可能な他の地域を含めても6000~8000人の超希少疾患。グルコース-6-リン酸を加水分解しグルコースを生成、輸送するグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)の遺伝子であるG6PCの変異が関与している。臓器にグリコーゲンが蓄積、命に係わる低血糖や肝腫大を合併する。治療はコーンスターチを成人の場合で一日300~350mgを、夜間も含め3~4時間毎に摂取する。血糖値が大きく変動し高血糖を発症するリスクがある。Genglycosはアデノ随伴ウイルス8型をベクタ落としてG6PCを導入するもの。第3相GlucoGene試験で血糖値管理を損なわずにコーンスターチ摂取量を41%抑制することができた(偽薬群は10%抑制)。
同社は優先審査バウチャを取得した。日本でも6月に承認申請している。
リンク: プレス・リリース
異所性骨化の画期的新薬が承認
(2026年8月19日発表)
FDAはRegeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)のPasatru(garetosmab-grts、開発コードREGN2477)を成人のFOP(進行性骨化性線維異形成症)の治療薬として承認した。10mk/kgを4週毎に60分点滴静注する。不耐なら3mg/kgに減量可。欧州でも申請中。日本などでも申請する考え。
FOPは全身の筋肉や腱、靭帯などが徐々に骨に変わり、手足の可動域が狭小化したり背中が曲がったりする。BMPの受容体であるACVR1が変異しActivin Aにより活性化されることが関与していることを同社の研究者が解明した。患者数は世界で900人程度、米国は220人程度と推測される超希少疾患だが、診断されていない患者も多そうだ。PasatruはActivin Aに結合する抗体医薬。日本も参加した第3相OPTIMA試験に16歳以上のActivin A受容体1に病原性変異を持つ患者63人を組入れて、10mg/kg、3mg/kg、または偽薬を1年間投与したところ、各群、新規異所性骨化病変数が2、1、19となり、2用量とも90%以上抑制することができた。副次的評価項目である臨床的増悪回数は各群9回、53回、66回(25年9月会社発表の70回から偽薬群だけ変更)となり、10mg/kgは統計的に有意だった。
警告事項は皮膚皮膚組織感染症や鼻血。有害事象は他に毛髪成長の増加、眉毛喪失、膿瘍、座そうなどが見られた。胎児毒性を持つので妊娠可能な女性は治療中と終了後6ヶ月間、避妊する。
同社は第2相試験に基づき承認申請を企図したことがあったが、オープン・レーベル延長試験中も含めて43人中5人が死亡したことなどから同試験を中止した。まだ添付文書を見ていないが、FDAや同社のプレス・リリースでは特に言及されていないので、本剤とは無関係と判定されたのだろう。
FOP治療薬はイプセンのレチノイン酸受容体ガンマ・アゴニスト、Sohonos(palovarotene)が23年に米国で、26年には日本でも、承認された。臨床試験で異所性骨化が偽薬比半減した。Pasatruは未成年は適応外だが、Sohonosは米国で女性は8歳以上、男性は10歳以上が適応になる。但し、EUでは、この種の薬は不可逆的な早期骨端軟骨閉鎖のリスクがあることなどがボトルネックとなり、承認されなかった。イプセンの年商は24年、25年とも2000万ユーロ強となっている。
リンク: プレス・リリース
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS) |
| 26/8推 | Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防) |
| 26/8推 | 武田薬品のrusfertide(真性多血症) |
| 26/8推 | Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎) |
| 26/8推 | アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌) |
| 26/8/22 | Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD) |
| 26/8/23 | Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型) |
| 26/8/25 | Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/25 | BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/27 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV) |
| 26/8/28 | ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍) |
| 26/8/30 | ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加) |
| 26/9推 | アッヴィのtavapadon(パーキンソン病) |
| 26/9推 | ノボ ノルディスクのNN7769(denecimig、A型血友病) |
| 26/9推 | ノバルティスのRhapsido(remibrutinib、皮膚描記型慢性刺激性蕁麻疹適応拡大) |
| 26/9/11 | TelixのTLX101-Px(foretyrosine F 18、神経膠腫造影剤) |
| 26/9/19 | UltragenyxのUX111(rebisufligene etisparvovec、サンフィリッポ症候群A型) |
| 26/9/21 | Winrevair(sotatercept-csrk、診断1年以内の肺動脈高血圧症のHYPERION試験成績) |
| 26/9/22 | Ionis PharmaceuticalsのION373(zilganersen、アレキサンダー病) |
| 26/9/26 | IncyteのINCB000928(zlurgisertib、進行性骨化性線維異形成症) |
| 26/9/27 | Elevar Therapeuticsのlirafugratinib(FGFR2融合/再編成胆道癌) |
| 26/9/28 | Egetis TherapeuticsのEmcitate(tiratricol、MCT8欠乏症) |
| 26/9/30 | BMSのCamzyos(mavacamten、12-17歳の症候性oHCMに適応年齢拡大) |
| 26/9/30 | Scholar RockのSRK-015(apitegromab、脊髄筋萎縮症) |
| 26/10推 | アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬) |
| 26/10推 | JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血症) |
| 26/10/4 | MSDのWelireg(belzutifan)とエーザイのLenvima(lenvatinib)、併用で進行腎細胞腫 |
| 26/10/9 | ロシュのTecentriq(atezolizumab、dMMR/MSI-HステージIII結腸癌の術後療法) |
| 26/10/10 | 第一三共のDS-7300(ifinatamab deruxtecan、進展型小細胞性肺癌) |
| 26/10/15 | ロシュのEnspryng(satralizumab-mwge、甲状腺眼症) |
| 26/10/26 | GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎) |
| 26/10/29 | Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎) |
| 26/10/30 | Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫) |
| 諮問委員会 | |
| 26/9/23 | MCGP:Grail社のGalleri多癌種早期探知血液検査 |
今週は以上です。
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