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2026年10月4日

第1279回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • リットフーロの白斑試験が成功 
  • BI/Zealandの体重管理薬、第3相がまた成功 
  • 大鵬薬品、新規合剤を承認申請へ 
  • tasimelteonが新たな睡眠障害に効果 
  • 抗SARS-CoV2抗体のmRNAワクチン対照試験 
  • ハンチントン病の遺伝子治療薬、4年目のデータは今一つだが... 
  • Mirum社、HDV薬の第3相が成功 
  • 新規GPIIa/IIIb受容体拮抗剤を承認申請 
  • ロシュ、BTK阻害剤を多発硬化症に承認申請 
  • イミフィンジを筋層浸潤膀胱癌に適応拡大申請 
  • ノボ、ヘムライブラ対抗品の承認審査が遅延 
  • 第一三共、抗B7-H3ADCの承認申請を撤回 
  • EUでHansoh PharmaのEGFR阻害剤の承認が取消に 
  • ジャイパーカが未治療CLL/SLLに適応拡大 
  • 初のMCT8欠乏症薬が承認 
  • 新作用機序のパーキンソン病薬が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


リットフーロの白斑試験が成功
(2026年10月2日発表)

ファイザーは7月にJAK3/TEC阻害剤Litfulo(ritlecitinib)が第3相非分節型白斑試験二本で主目的などを達成と発表したが、データをEADV(欧州皮膚科学会)で公表した。承認されているインサイト(Nasdaq:INCY)のJAK1/2阻害剤クリーム、Opzelura(ruxolitinib)と比べ効果が大きく変わるようには見えないが、経口剤である点が異なる。欧米で承認申請する考え。

この日本も参加したTranquillo試験とTranquillo 2試験は、前者は12歳以上の小児と成人を50mg一日一回投与群と偽薬群に2:1割付けして52週間投与、後者は成人を100mg一日一回投与群と偽薬群、そして、参考群である50mg一日一回投与群に無作為化割付けして52週間投与した。100mg群と偽薬群の主評価項目のF-VASI75(顔面に関する評価指数が75%以上改善した患者の比率)は、夫々、12.47%対2.48%と、21.86%対2.40%となり、偽薬比有意な差があった。後者の試験の50mg群の数値は公表されていない。共同主評価項目(但し米国外では副次的評価項目)のT-VASI50(全身の評価指数が50%以上改善した患者の比率)は、各、8.98%対1.98%と13.02%対2.40%で、こちらも有意な差があった。

Litfuloは23年に米日欧で12歳以上の重度円形脱毛症に承認されている。

リンク: プレス・リリース


BI/Zealandの体重管理薬、第3相がまた成功
(2026年10月1日発表)

ベーリンガー・インゲルハイム(BI)は、Zealand Pharma(Nasdaq:ZEAL)からライセンスしたグルカゴン受容体とGLP-1受容体のデュアル・アゴニスト、BI 456906(survodutide)が第3相SYNCHRONIZE-2試験で主目的を達成したと発表した。EASD(欧州糖尿病学会)年次総会とNew England Journal of Medicine(NEJM)誌でデータを明らかにした。

この試験は肥満/オーバーウェイトで心血管リスク因子を持ち二型糖尿病を併発する患者を偽薬群、3.6mg群、6.0mg群に無作為化割付けして一日一回皮下注を76週間反復し、体重の変化と5%減量奏効率を偽薬と比較した。例によって、製薬会社のプレス・リリースには薬自体の潜在力を反映するefficacy estimand(ちゃんと投与を続けた患者だけの解析)ベースの成績が、NEJM誌には患者にとって重要な、そして米国のレーベルに記載されるであろうtreatment-regimen setimand(途中で打ち切った患者やレスキュー薬投与を開始した症例も解析)ベースの数値が記されている。また、プレス・リリースは用量に言及していないので、両群のプール値だけを発表しているのかもしれない。

体重減量率は、BIによると、偽薬群が3.1%、試験薬群は13.1%。NEJM論文によると偽薬群3.9%、3.6mg群8.2%、6.0mg群9.8%。5%減量奏効率の解析も成功した。副次的評価項目のうち、A1c低下幅(ベースライン値は7.4%)はBIによると0.03%と1.21%、NEJM論文では各群0.2%、0.9%、0.8%となっている。

二型糖尿病を合併していない患者を組入れたSYNCHRONIZE-1試験や肥満/オーバーウェイトの線維症を伴うMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)における肝臓脂肪抑制試験、中国試験も成功しており、心血管アウトカム試験も進行中。承認申請に近付いている。肥満症関連では多くの新薬、既存薬が競っているので、セールス・トークに使える長所が欲しい所だ。

リンク: プレス・リリース
リンク: Whartonらの治験論文抄録(NEJM)


大鵬薬品、新規合剤を承認申請へ
(2026年10月1日発表)

大鵬薬品はazacitidineとcedazuridineの合剤(ASTX030)が第3相試験で主目的を達成したと発表した。米国で承認申請する考え。

azacitibineはオリジナルの皮下注用製剤は既にGE化したDNAメチル基転移酵素阻害剤。MDS(骨髄異形成症候群)などに承認されている。20~21年にかけて米欧で、今年8月には日本でも、経口剤のOnuregが急性骨髄性白血病の寛解後維持療法として承認された。cedazuridineはシチジンデアミナーゼ阻害剤。DNAメチル基転移酵素阻害剤decitabineを経口投与する時の代謝を遅らせ効果を長持ちさせる作用を持ち、合剤が20~23年に米欧で標準的寛解導入療法不適の急性骨髄性白血病薬Inqovi/Inaqoviとして承認された。

今回成功したのは第3相AZTOUND試験の単剤投与ポーション。MDSやCMML(慢性骨髄単球性白血病)の患者88人を対象にクロスオーバー方式で、合剤を経口投与する時と、azacitibineを皮下注射する時のazacitidineの曝露(血中濃度の24時間曲線下面積)を比較したもの。

Onuregとの比較が気になるところだが、こちらは偽薬対照試験における反応率に基づいて異なった癌の異なった用途に承認されたので、分からない。

リンク: プレス・リリース(和文)


tasimelteonが新たな睡眠障害に効果
(2026年9月29日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq:VNDA)はMT1/2受容体作動剤Hetlioz(tasimelteon)が第3相DSWPD(睡眠・覚醒相抗体障害)試験で主目的などを達成したと発表した。他の睡眠障害試験のデータと共に適応拡大申請すべくFDAと相談する考え。

Hetliozは14~15年に欧米で非24時間障害(盲目などにより概日リズムが不調)の治療薬として承認された。類似疾患における適応拡大が積極的に進められ、20年に米国でスミス・マギニス症候群(遺伝子の部分欠失による発達障害)の睡眠障害に承認されたが、その後は、25~26年にEUでスミス・マギニス症候群適応拡大が認められず、米国ではジェットラグ障害や不眠症の入眠障害に関する適応拡大申請が中々承認されず不服申し立て手続きを進めるなど、今や、病気というよりは当局と戦う製薬会社の体をなしている。

DSWPD試験は成人患者43人を組入れて、承認用途と同じ20mg一日一回経口投与の便益を偽薬と比較した。28日の主観的睡眠潜時がベースライン比42.5分改善、偽薬群の5.4分改善を37.1分上回った(p=0.022)。安全性は過去の試験と同様とのこと。

本試験は6年前に開始、260人をスクリーニングしても43人しか割付けられなかった(ClinicalTrials.govによると目標は70人)。p値が今一つなのは検出力不測の面もあるのではないか。

前例を踏まえると、まずはFDAのフィードバックが注目される。

リンク: プレス・リリース


抗SARS-CoV2抗体のmRNAワクチン対照試験
(2026年9月29日発表)

米国のInvivyd(Nasdaq:IVVD)はVYD2311が第3相LIBERTY実薬対照試験で良好な成績を上げたと発表した。もう一本、第3相DECLARATION偽薬対照試験も進行中で、10月にこちらの忍容性及び免疫原性データを取得した上で、COVID-19曝露前予防薬としてFDAに加速承認を申請する考え。

同社は24年3月に米国で抗SARS-CoV2抗体Pemgarda(pemivibart)のEUA(非常時使用認可)を取得した。免疫低下によりワクチンでは十分な免疫応答が期待できない12歳以上、体重40kg以上の人に3ヶ月毎に反復投与する。25年の売上高は5300万ドルと小さい。HHS(保健福祉省)は27年6月末を以てCOVID-19治療/予防薬のEUAを終了する計画なので、次の弾を打ち出す必要がある。

VYD2311は同社の抗SARS-CoV2抗体第3弾。流行株の変遷に振り回されて、第3相が成功したがお蔵入りしたADG20(adintrevimab)、Pemgarda、VYD2311と衣替えしてきた。今回のLIBERTY試験は18~49歳の210人を250mg一回筋注群、ファイザーのComirnaty筋注群、両剤併用群の3群に割付けしたダブル・ダミー試験。主評価項目の接種後6日間の有害事象発生率(治療時発現有害事象、注射箇所反応、過敏反応が対象)は各群56.5%(Comirnaty群比有意)、91.4%、78.9%と不思議な結果になった。共同主評価項目の6日間全身性有害事象発生率も、副次的評価項目の56日有害事象発生率も、VYD2311群が一番低く、次が併用群、一番悪いのがComirnaty群となっている(有意ではないものも含む)。便益に関しては、併用群の56日中和抗体価がComirnaty群の2.5倍とのことだが、単剤群に関する記述はない。

主エビデンスとなるべきDECLARATION試験は米国の12歳以上2400人を試験薬の一回投与群、月一回3回投与群、そして偽薬群に無作為化割付けしている。主評価項目は90日症候性COVID-19罹患率(リアル・タイムPCRで確認)。

PemgardaのEUAは抗体価試験とADG20のEVADE曝露前予防試験の感染予防データのブリッジングに基づくもの。今回も薬効に関してはDELCARATION試験の抗体価データとEVADE試験のブリッジングで加速承認を取得する考え。既に多くのワクチンが正式承認されていることを考えると、加速承認時の適応範囲は従来同様に免疫低下者などに限定されるのではないだろうか。

リンク: プレス・リリース


ハンチントン病の遺伝子治療薬、4年目のデータは今一つだが...
(2026年9月29日発表)

uniQure(Nasdaq:QURE)はAMT-130(ifezuntirgene inilparvovec)をハンチントン病の遺伝子治療薬として9月に米国で加速承認申請したところだが、エビデンスとなる第1/2相試験の48ヶ月追跡データを発表した。36ヶ月データより悪化し自然歴対照群との差が有意でなくなったため株価が下落したが、ノイズも多そうなので、よく分からない。承認申請は36ヶ月データに基づいているが、申請に至るまでも波乱があったので、不透明な状況が続く。

原因遺伝子と目される変異ハンチントン遺伝子を沈黙させるmicroRNAをAAV5ベクターを用いて脳に投与する遺伝子療法。薬効のエビデンスは第1/2相試験の主評価項目であるcUHDRS症状評価尺度、主要副次評価項目は市販後薬効確認試験の主評価項目と同じTotal Functional Capacity。低量群と高量群が設定されたが高量が主眼のようだ。対照群は傾向マッチする自然歴群。厄介なのは、36ヶ月時解析の対照群と48ヶ月時解析のそれは症例数が異なっており、連続性が無さそうだ。

cUHDRSの変化は36ヶ月時点では高量群-0.38、対照群-1.52、差のp値は0.003だったが、48ヶ月時点では-0.90、-1.61、差はp=0.144だった。試験薬群だけ比較的大きく低下したが、一部報道によると、極端な外れ値が一例あったようだ。また、高量群の症例数は36ヶ月時点と同じだが対照群は36ヶ月から48ヶ月の間に半減しており、サバイバル・バイアスが影響した可能性もある。

uniQureは24年に外部対照試験に基づき加速承認することでFDAと合意したが、いざ申請へという時に前言を覆され、説得に半年を費やす羽目になった。難病や希少病の薬は承認のハードルが下がるが、どこまで下がるかは裁量の余地が大きいので、一筋縄ではいかないかもしれない、程度のことしか言えない。

リンク: プレス・リリース
リンク: IRテレカンファレンス用スライド


Mirum社、HDV薬の第3相が成功
(2026年9月28日発表)

Mirum Pharmaceuticals(Nasdaq:MIRM)はbrelovitugが第3相慢性D型肝炎試験で主目的を達成したと発表した。もう一本も成功なら27年上期に米国で承認申請する考え。

B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg・・・D型肝炎ウイルスと共通)を中和する抗体医薬。今年1月にBluejay Therapeuticsを買収して入手した。今回のAzure1試験は初めて治療を受ける153人を300mg週一回皮下注群、900mg4週毎皮下注群、待機群(24週到達後から試験薬を開始)に2:2:1割付けして24週時点の奏効率(HDV RNAがベースライン比2log10以上減少または検出不能に、且つ、ALT値が正常化)を比較したところ、各群56%、45%、ゼロとなった。試験薬2群はウイルス学的奏功率は各86%と85%で大差なかったがALT正常化率が63%と54%だった。治療関連有害事象の発現率は各群23%、33%、ゼロ。

もう一本は80人の未治療患者を上記3群に2:1:1割付けしている。こちらの試験の対照群は12週間待機後に試験薬を開始する。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


新規GPIIa/IIIb受容体拮抗剤を承認申請
(2026年9月30日発表)

米国のCelecor Therapeuticsはzalunfibanを承認申請しFDAに受理されたと発表した。審査期限は27年6月18日。

皮下注用のGPIIb/IIIa受容体拮抗剤で、効果が15分でピークに達し2時間後には消失と速効速消であることを生かし、ST上昇型心筋梗塞を発症した患者を専門病院に入院させる前の応急措置として利用する。第3相CeleBrate試験で欧州米州の患者2467人を偽薬群、0.11mg/kg群、0.13mg/kg群の3群に無作為化割付けして入院前のメディカル・コンタクト時に一回投与したところ、試験薬群のプール分析で、30日修正改善オッズ(死亡から梗塞拡大までの6項目の複合評価)が0.79、p=0.028となった。軽中度出血が増加したが重度出血発生率は1.2%と偽薬群の0.8%と大差なかった。

リンク: プレス・リリース


ロシュ、BTK阻害剤を多発硬化症に承認申請
(2026年9月30日発表)

ロシュは米国でRG7845(fenebrutinib)を再発型と一次性進行型の多発硬化症用薬として承認申請し受理されたと発表した。再発型では第3相teriflunomide対照試験で再発が一本では51%、もう一本では58.5%、少なかった。一次性進行型では同社の抗CD20抗体Ocrevus(ocrelizumab)と比較した試験でcCDP12(複数の評価尺度に基づく疾病進行リスク)が非劣性だった。深刻有害事象の発生率は再発型では9%(対照群も9%)と11%(同6%)、一次性進行型では両群19%だった。

中枢神経浸透性BTK阻害剤。他社のBTK阻害剤の腫瘍学以外での開発は、3社の3開発品で可逆的な薬物誘導性肝障害の懸念が浮上、FDAが臨床試験の部分停止を命じ、一剤は開発中止、一剤は欧州では承認されたが米国は審査完了となった。RG7845は非共有結合性であるためか特にリスクが高まるようには見えないが、一方で、どちらの用途の試験でも少数とは言え死亡数に群間の偏りが見られたことがリスク要素だ。

リンク: プレス・リリース


イミフィンジを筋層浸潤膀胱癌に適応拡大申請
(2026年9月25日発表)

アストラゼネカは抗PD-L1抗体Imfinzi(tremelimumab)を米国で周術期筋層浸潤膀胱癌に適応拡大申請したと発表した。優先審査を受け、PDUFA(処方薬ユーザー・フィー法)に基づく審査目標日は今年第4四半期中とのこと。

cisplatinベース化学療法不適/拒否の患者に、膀胱全摘術前はファイザー/アステラス製薬のPadcev(tremelimumab-actl)と併用で、術後は単剤で投与するもの。第3相VOLGA試験の中間解析でEFS(無イベント生存期間)が標準的術後アジュバント療法群と比べて統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を見た。データは未公表。5月の成功発表時点では全生存期間は未成熟でトレンドのみとのことだったが、今回、統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を達成したことを明らかにした。

日欧などでも適応拡大申請中。

尚、上記試験は同社の抗CTLA4抗体Imjudo(tremelimumab)も併用する群も設定されているが、成否は未公表。この用途ではMSDのKeytruda(pembrolizumab)もPadcev併用が承認されている。3剤併用が成功すれば一歩前に出ることができるのだが...

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


ノボ、ヘムライブラ対抗品の承認審査が遅延
(2026年10月2日)

ノボ ノルディスクはFrehemgo(denecimig)を小児や成人のA型血友病の予防的投与薬として欧米で承認申請し、EUでは9月にCHMPの肯定的意見を得たが、米国は審査遅延となった。工場問題の解消策に関わるもので、薬効や安全性に関する問題はないとのこと。新たなPDUFA日(処方薬ユーザー・フィー法に基づく審査終了目標日)は通知されていないとのことなので、もしかすると、あまり長引かないのかもしれない。

中外製薬/ロシュのHemlibra(emicizumab-kxwh)と同様に活性化第IX因子と第X因子を架橋する抗体医薬で、活性化IX因子に結合するアームが一方であることと、第X因子切断活性を向上する改変が導入されているとのこと。

リンク: プレス・リリース


第一三共、抗B7-H3ADCの承認申請を撤回
(2026年9月28日発表)

第一三共は、MSDと共同開発している抗B7-H3抗体薬物複合体、DS-7300(ifinatamab deruxtecan)を米国で再発/難治性進展型小細胞癌用薬として承認申請していたが、撤回した。25年9月のWCLC(世界肺癌学会)での発表によると、第2相で12mg/kg群137人におけるORR(確認客観的反応率、盲検独立中央評価)が48%、メジアン反応持続期間5.3ヶ月とのことだったが、FDAは加速承認の条件を満たしていないと否定的だったようだ。第3相実薬対照試験の組入れがもうすぐ完了するようなので、梃子にして再起を図ることになる。

第一三共は複数の抗体薬物複合体が開発後期にあるが、近年は失望的なニュースが陸続している。

リンク: プレス・リリース


EUでHansoh PharmaのEGFR阻害剤の承認が取消に
(2026年9月27日発表)

Hansoh Pharma(翰森製薬集団、3692.HK)のEGFRチロシン・キナーゼ阻害剤aumolertinibは、21年以降、中国で様々な癌に承認されている。国外では米国のEQRxが中国試験のデータで承認申請を図ったが、対照薬が米国で承認されている最良レジメンと異なることにFDAが難色を示し、結局、同社は開発を断念し身売りした。一方、欧州では代理人と目されるSFL Pharmaceuticalsが今年2月に変異EGFRを持つ進行非小細胞性肺癌の一次治療薬Aumseqaとして承認を取得した。

今回、このEU承認が9月25日付で取り消された。中国試験のデータと、白人などにも当てはまることを確認するブリッジング試験のデータに基づく承認だったが、データの一部が、アストラゼネカが類薬であるTagrisso(osimertinib)の承認を得た時に獲得した新薬排他権を侵害してしまった模様だ。16年2月の承認なのでHansohは24年まで申請できないが、申請は22年だった。

アストラゼネカがEU司法裁判所に承認取消を求めて提訴しており、まだ決定は出ていない模様だが、欧州委員会のDirectorate-General(厚生。食品安全担当)が取消を決定した。

アストラゼネカのデータ保護期間は既に終わっており、Hansohは再承認申請する考え。EMA(欧州薬品庁)は通常より短期間の審査を行うことを示唆しているとのこと。不服申立ても考えている模様だが再申請のほうが話が早いのではないか。尚、同薬は中国以外では未発売。

リンク: プレス・リリース

【承認】


ジャイパーカが未治療CLL/SLLに適応拡大
(2026年10月2日発表)

FDAはイーライリリーのJaypirca(pirtobrutinib)を成人の未治療CLL/SLL(慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫)に適応拡大することを承認した。EUでも9月に承認されている。第3相BRUIN CLL-313試験で200mg一日一回経口投与群をbendamustineとrituximabの併用レジメンと比較したところ、PFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)のハザード・レシオが0.20、メジアン値は未達対33.5ヶ月と、大きな差があった。全死亡は未成熟だが死亡率は各群2.1%と7.1%と、悪化の兆候は見られない。Jaypirca群の深刻有害事象発生率は28%だった。

この試験で17p欠損型のCLL/SLLは、対照群で採用されたレジメンの効果が弱いため、除外されていたため、欧米ともに、17p欠損型は適応外。

Jaypircaは貴重な非共有結合性を持つ、BTK阻害剤。一次治療における有用性は明らかだが、再発した後の治療手段が限られてしまうため、高齢者や心臓疾患を持つ患者以外は共有結合性BTK阻害剤を先に使ってJaypircaは取って置くべきという向きも多いようだ。

リンク: プレス・リリース


初のMCT8欠乏症薬が承認
(2026年9月28日発表)

FDAは、Emcitate(tiratricol)を成人小児のMCT8欠乏症の治療薬として承認した。この疾患は、モノカルボン酸トランスポーター8に遺伝子変異があり、最重要な甲状腺ホルモンであるT3が細胞内に輸送されず周囲に悪影響を与える。知能や運動機能に障害を齎す可能性がある。活性成分はT3の類縁体で、MCT8に依存せずに細胞膜を通過する。臨床試験では末梢血のT3濃度が偽薬比大きく減少した。心拍数や血圧の上昇も改善した。神経発達遅延を改善する効果は未確認のようだ。

経口懸濁液用の錠剤で、体重やT3水準、症状や兆候に応じて用量を決定し、一日2~3回に分けて服用する。有害事象は下痢、嘔吐、ラッシュ、異常発汗など。

半世紀前にフランスで発売された薬の転用。スウェーデンのPledPharma ABがRare Thyroid Therapeutics International ABを買収しEgetis Therapeutics AB(Nasdaq Stockholm:EGTX)を設立して開発を継承、欧州では25年2月に承認された。日本は23年に藤本製薬がライセンスしている。

リンク: プレス・リリース


新作用機序のパーキンソン病薬が承認
(2026年9月28日発表)

アッヴィは、FDAがJuvmo(tavapadon)をパーキンソン病薬として承認したと発表した。既存のドパミン作動剤が主としてD3/D4受容体をターゲットとしているのに対して、D1/D5を選択的にしかも部分作動する、初めての薬。診断から1年以内の患者を組入れた第3相二本でMDS-UPDRS症状評価尺度が偽薬比有意に改善した。レボドパの効果が低下してきた患者に追加投与した試験ではジスキネジアを伴わないオン・タイムが偽薬比有意に増加しオフ・タイムは減少した。警告注意事項は低血圧/起立性低血圧、賭博/食欲/買い物/性活動などに関する衝動、幻覚、ジスキネジア。

ファイザーのPF-06649751を導入・開発していたCerevel Therapeuticsを24年に株式価値ベース87億ドルで買収して入手したもの。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/10推アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬)
26/10推GSKのJemperli(dostarlimab-gxly、dMMR/MSI-H結腸癌、CNPV案件)
26/10/9ロシュのTecentriq(atezolizumab、dMMR/MSI-HステージIII結腸癌の術後療法)
26/10/15ロシュのEnspryng(satralizumab-mwge、甲状腺眼症)
26/10/26GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎)
26/10/29Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎)
26/10/30Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫)
26/11推Merck KGaAのpimicotinib(腱滑膜巨細胞腫)
26/11推バイエルのBAY 2433334(asundexian、虚血性脳卒中再発予防)
26/11推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv、多発骨髄腫単剤4次治療)
26/11推Dizal PharmaceuticalのZegfrovy(sunvozertinib、EGFR ex20ins変異のあるNSNSCLC1L)
26/11推ロシュのGazyva(obinutuzumab、原発性膜性腎症)
26/11推ファイザーのTalzenna(talazoparib)とアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の併用(去勢感受前立腺癌)
26/11推Regeneron PharmaceuticalsのALN-CC5(cemdisiran、全身性筋無力症)
26/11/1Agios Pharmaceuticalのmitapivat(鎌状赤血球症適応拡大)
26/11/14Summit tderapeuticsのSMT112(ivonescimab、3G EGFR阻害剤歴のあるEGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
26/11/14CytokineticsのMyqorzo(aficamten、MAPLE-HCM試験データ)
26/11/17Mandos LLC(Beren tderapeuticsの子会社)のVTS-270(adrabetadex、ニーマン・ピック病I型)
26/11/22SavaraのMolbreevi(molgramostim、吸入用、自己免疫性肺胞蛋白症)
26/11/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/11/25サノフィのSAR402671(venglustat、III型ゴーシェ病)
26/11/27BridgeBio PharmaのBBP-418(ribitol、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)
26/11/27Zydus Therapeuticsのsaroglitazar(原発性胆汁性胆管炎)
26/11/27Nuvalent(GSKグループ)のNVL-655(neladalkib、TKI歴のあるALK+NSCLC)
26/11/28PolypidのD-PLEX100(doxycycline長期局所放出製剤、
26/11/30ロシュのRG6171(giredestrant、早期乳癌術後療法)
26/11/30Vertex Pharmaceuticalsのpovetacicept(IgG腎症)
26/11/30Cogent BioscienceのCGT9486(bezuclastinib、GIST2L)
諮問委員会
26/10/30DODAC:SydnexisのRyjunea(atropine、小児進行性近視)

今週は以上です。

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