【ニュース・ヘッドライン】
- アストラゼネカ、EUが痛風治療薬の承認申請を受理
- FDA諮問委員会がバシリア/アステラスの抗真菌薬を支持
- CHMPが体重管理薬などに肯定的意見
- FDAがPTH製剤を甲状腺機能低下症に承認
- ノバルティスのB群髄膜炎菌ワクチンも米で承認
- コセンティクスが欧米でも承認
- ゴーシェ病の経口剤がEUでも承認
- IPF治療薬がEUでも承認
【承認申請】
アストラゼネカ、EUが痛風治療薬の承認申請を受理
(2015年1月22日発表)
アストラゼネカは、EUがRDEA594(lesinurad)の承認申請を受理したと発表した。新作用機序の痛風治療薬で、allopurinolやfebuxostatのようなキサンチン酸化酵素阻害剤が尿酸の合成を抑制するのに対して、URAT1トランスポータを阻害して腎臓で濾された尿酸が血液中に再吸収されるのを防ぐ。
第三相では上記二剤を服用しても尿酸値が十分に下がらない患者を対象に、200mgまたは400mgを一日一回、経口で追加投与した。高用量は腎臓関連有害事象や腎石のリスクが見られ、効果は大差ないので、200mgに抑えた方が良さそうだ。
アストラゼネカは12年にArdea Biosciences社を12.6億ドルで買収して入手した。
リンク:アストラゼネカのプレスリリース
【承認審査・委員会】
FDA諮問委員会がバシリア/アステラスの抗真菌薬を支持
(2015年1月22日発表)
スイスの抗菌剤開発会社であるバシリア(SIX:BSLN)とアステラス製薬は、侵襲性のアスペルギルス症やムーコル症の治療薬として米国で承認申請したCresemba(isavuconazole)が、抗感染症諮問委員会の支持を得たと発表した。アスペルギルス症は全員一致、ムーコル症は11人の委員のうち8人が支持した。
FDAは、命に係る細菌感染症の治療薬に関しては死亡率が既存薬と比べて非劣性であることを求めている。Cresembaの試験では、42日死亡率が18.6%と、対照薬のvoriconazoleの20.2%と非劣性だった。ムーコルは組入れ数が少なく、文献データなども踏まえた総合的な判断となった。
Cresembaはこの二つの適応症でQIDP(認定感染症用製品)指定を受けている。アステラス製薬はバシリアから世界開発販売権を取得した。
リンク:バシリアのプレスリリース
CHMPが体重管理薬などに肯定的意見
(2015年1月23日発表)
欧州薬品庁(EMA)の医薬品科学的評価委員会であるCHMPは1月の会議で7種類の新製品と5製品の適応拡大について肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月内に承認されることになるだろう。
リンク:EMAのプレスリリース
新薬は、まず、ノボ ノルディスクのGLP-1作用剤、Saxenda(liraglutide)。肥満症やリスク因子を持つ太り過ぎの患者の体重管理に用いる。活性成分は二型糖尿病の治療薬として承認されているが、Saxendaは3mgとほぼ倍量。12週間治療して体重が5%以上低下しなかったら投与を止める(昨年12月に承認された米国のレーベルでは16週間4%なので、EUのほうが若干厳しい)。
リンク:ノボ ノルディスクのプレスリリース(1/22付)
MSDのSivextro(tedizolid)はABSSSI(急性細菌性皮膚皮膚構造感染症)の治療薬。Zyvox(linezolid、和名ザイボックス)と同じオキサゾリジノン系抗菌剤で細菌のリボソームの50Sサブユニットに結合して蛋白合成を妨げる。韓国の東亞製薬から権利を取得した会社を13年に買収したキュービストを、更にMSDが今月、買収した。米国では昨年6月に承認。北米欧州以外の権利はバイエルが保有。
メディスン・カンパニーズ(Nasdaq:MDCO)のOrbactiv(oritavancin)もABSSSI治療薬。バンコマイシン系だが細胞膜の二ヶ所に結合するためバンコマイシン耐性菌にも強いことが期待されている。元々はイーライリリーの開発品だったが、インターミューンなどを経て09年にメディスン社が入手、再び第三相試験を実施して再承認申請した。米国では昨年8月に承認。
メディスン社はKengrexal(cangrelor)とRaplixa(ヒト フィブリノーゲン、ヒト トロンビン)も肯定的意見を得た。前者はPCI(経皮的冠介入術)を受ける、Plavix(clopidogrel)のようなP2Y12受容体拮抗剤でプリトリートされていない患者に用いる。アストラゼネカからライセンスしたBrilinta(ticagrelor)の類薬だが経口ではなく静注用。作用のオンセットが早く持続時間が短いことが特徴。米国では諮問委員会が反対、承認されなかった。
Raplixaは手術中の止血に用いるドライパウダー製剤で、13年にProFibrix を買収して入手したもの。
リンク:メディスン社のプレスリリース
新製剤では、参天製薬のIkervis(ciclosporin)がドライアイ患者の重度角膜炎の治療薬として、MSDのMK-0518B(raltegravirとlamivudineの合剤)がHIV/AIDS治療薬として支持された。
適応拡大では、インサイト/ノバルティスのJakafi(ruxolitinib)をヒドロキシウリアによる治療に反応しない真性赤血球増加症の治療に用いることが支持された。骨髄線維症の治療薬として承認されている。
リンク:ノバルティスのプレスリリース
また、セルジーンのAbraxane(paclitaxelmアルブミン結合)を末期非小細胞性肺癌の一次治療薬としてcarboplatinと併用することも支持された。これまでに転移性乳癌の二次治療や転移性膵癌の一次治療に承認されている。
【承認】
FDAがPTH製剤を副甲状腺機能低下症に承認
(2015年1月23日発表)
NPSファーマシューティカルズは、Natparaが副甲状腺機能低下症患者の低カルシウム血症治療薬として米国で承認されたと発表した。カルシウムやビタミンDと併用する。
Natparaは遺伝子組換え型ヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH)。類薬であるイーライリリーの骨粗鬆症治療薬Forteo(teriparatide )はPTHのアミノ酸34個から成るが、Natparaは84個全てを用いている。元々は骨粗鬆症治療薬として開発されたが、クラスイフェクトである高カルシウム血症リスクや骨肉腫懸念などが原因で米国では承認されず、欧州で承認されただけだった。
NPS社は今月、英国のシャイアが52億ドルで買収を決めた。随分高い買い物のような印象だが、アッヴィがシャイアを買収しようとしたことがあるので、時価総額を膨らませて買収され難くする狙いなのだろう。
リンク:NPSのプレスリリース
ノバルティスのB群髄膜炎菌ワクチンも米で承認
(2015年1月23日発表)
ノバルティスは、Bexseroが米国で承認されたと発表した。B群髄膜炎菌ワクチンで10~25歳に用いる。A、C、Y群などはワクチンが普及し欧米では感染例が減少したが、種類が多くワクチンを作れなかったB群による感染が増加、英国やスペイン、豪州などではB群が中心になった模様。米国でも昨年、某大学が治験許可を取得し、入寮する学生にBexseroを提供し始めた。米国ではファイザーのTrumenbaも昨年10月に承認されている。
リンク:ノバルティスのプレスリリース
コセンティクスが欧米でも承認
(2015年1月19日、21日発表)
ノバルティスは、抗IL-17Aモノクローナル抗体Cosentyx(secukinumab、和名コセンティクス)が欧米で乾癬治療薬として承認されたと発表した。DMARDなどに十分反応しない、あるいは不耐の中重度患者に対する二次治療薬だが、EUは一次治療に用いることも認めた。TNF阻害剤ですら二次治療でしか承認されていないので、驚き。日本でも昨年末に承認された。
リンク:ノバルティスのプレスリリース(EU承認、1/19付)
リンク:同(米承認、1/21付)
ゴーシェ病の経口剤がEUでも承認
(2015年1月22日発表)
サノフィ・グループのジェンザイムは、Cerdelga(eliglustat)がI型ゴーシェ病の治療薬としてEUで承認されたと発表した。グルコシルセラミド合成酵素阻害剤で、酵素補充療法と異なり経口投与できることが特徴。肝臓酵素2D6の機能や2D6/3A4相互作用に注意する必要がある。米国は昨年8月に承認。
リンク:ジェンザイムのプレスリリース
IPF治療薬がEUでも承認
(2015年1月19日発表)
ベーリンガー・インゲルハイムはOfev(nintedanib)が特発性肺線維症の治療薬としてEUで承認されたと発表した。VEGF受容体などを阻害する小分子薬。米国では昨年10月に承認された。
リンク:ベーリンガーのプレスリリース
今週は以上です。
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