2018年5月6日

2018年5月6日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • オプジーボ・ヤーボイ併用をNSCLC1Lに承認申請 
  • キイトルーダの肺癌一次治療三剤併用を承認申請 
  • アクテリオン、オプスミットの適応拡大申請 
  • FDA諮問委員会、天然痘治療薬の承認を支持 
  • FDA諮問委員会、アミノグリコシド系新薬を一部用途で支持 
  • CHMP、SareptaのDMD治療薬に否定的な傾向投票 
  • Portola、Xa阻害剤の解毒剤が承認 
  • ノバルティス、CAR-Tの適応が拡大 
  • ノバルティス、braf阻害剤とMEK阻害剤の黒色腫摘出術後アジュバント療法が承認 
  • ラピアクタ、EUで承認 


【承認申請】


オプジーボ・ヤーボイ併用をNSCLC1Lに承認申請
(2018年5月3日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)とYervoy(ipilimumab、和名ヤーボイ)の併用レジメンをTMBが10 mut/Mb以上の転移性非小細胞性肺癌の一次治療に用いる二種変更をEMA(欧州薬品庁)に申請し、受理されたと発表した。

TMBはTumor Mutation Burdenの略。患者の癌細胞と正常細胞の遺伝子を比較して、変異の多寡をメガベース当りの変異数(mut/Mb)として定量化したもの。腫瘍関連遺伝子には、正常な細胞が癌化する上で決定的な影響を及ぼすもの(例:EGFR)がある一方で、関連性があまり強くないものもある。複数の遺伝子の変異が重なることがトリガーになる可能性もあるので、簡便なスクリーニング方法として、変異頻度に注目する。

閾値を10としたのは過去の試験の事後的分析によるもの。企業や研究者、主評価項目によって異なっており、手探りという印象だ。

今回の申請はCheckMate-227試験に基づくもので、上記の併用レジメンを白金薬ベースの二剤併用と比較したところ、PFS(無進行生存期間)のハザードレシオが0.58となった。全生存期間のハザードレシオは0.79(95%信頼区間0.56-1.10)だったが、データが未成熟である可能性もあり、そもそも、主評価項目ではない。

リンク: BMSのプレスリリース

キイトルーダの肺癌一次治療三剤併用を承認申請
(2018年4月30日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の適応拡大を米国で申請し受理された。非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に、pemetrexed及び白金薬と併用する。優先審査で、審査期限は9月23日。欧州や日本でも申請された。

KEYNOTE-189試験に基づくもので、三剤併用群のPFS(無進行生存期間)や全生存期間をpemetrexedとcarboplatinだけの標準療法群と比較したところ、PFSのハザードレシオは0.52、全生存期間は0.49となった。1年生存率は69%と標準療法群の49%を上回った。偽薬群は癌の進行が認定された後にKeytrudaのような抗PD-1抗体を使った患者が多く、三剤療法の副作用リスクを気にしてKeytrudaを二次治療に取って置くのは適切な方針ではない可能性を示唆している。

尚、Keytrudaの非小細胞性肺癌における現在の適応は、再発治療(モノセラピー)はTPS(PD-L1発現スコア)が1%以上、一次治療(同)は50%以上に限定されているが、今回はTPS不問。

リンク: MSDのプレスリリース

アクテリオン、オプスミットの適応拡大申請
(2018年4月30日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのアクテリオンは、Opsumit(macitentan、和名オプスミット)をCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)の治療に用いる適応拡大を米国で承認申請した。患者の4割程度を占める、手術不能例が適応になる見込み。臨床試験では肺血管抵抗(PVR)や6分歩行テストが偽薬より改善した。

OpsumitはエンドテリンのA、B、両受容体を拮抗する経口剤。日本新薬からライセンス。13年に欧米で、15年には日本でも、肺動脈高血圧症治療薬として承認された。

リンク: アクテリオンのプレスリリース(pdfファイル)


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、天然痘治療薬の承認を支持
(2018年5月1日発表)

FDAの抗菌薬諮問委員会は、SIGA Technologies(Nasdaq:SIGA)が天然痘治療薬として承認申請したTPOXX(tecovirimat)を検討し、17人全員が便益が危険を上回る(承認に値する)と判定した。審査期限は8月8日。

天然痘は全世界的なワクチン接種キャンペーンが奏功し、1980年代に駆除宣言された。しかし、生物兵器として使われる可能性があるため、米軍がtecovirimatの経口剤の開発を支援するとともに、プロジェクト・バイオシールドの予算で200万コース分、戦略的国家備蓄した。

SIGAは04年にViropharmaから知的所有権などの資産を譲り受けた。

リンク: SIGAのプレスリリース

FDA諮問委員会、アミノグリコシド系新薬を一部の用途で支持
(2018年5月2日発表)

FDAの抗菌薬諮問委員会は、Achaogen(Nasdaq:AKAO)が承認申請したアミノグリコシド系抗生剤、ACHN-490(plazomicin)を検討し、複雑性尿路感染症については15人全員が便益が危険を上回ると判定した。一方、菌血症については11人が反対、賛成は4人に留まった。審査期限は6月25日。

plazomicinはIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)からライセンスしたsisomicin誘導体。アミノグリコシド耐性菌にも活性が見られた。腎毒性や難聴リスクが小さいことも期待されたが、エビデンスは確立していない模様だ。

複雑性尿路感染症の臨床試験では、FDAとEUの各々が重視する評価方法で奏効率がmeropenemと比べて非劣性だった。後者の評価方法では優越性も示唆された。

一方、カルバペネム耐性腸内細菌による菌血症を組入れた試験(meropenemまたはtigecyclineと併用)は、患者登録が進まず目標症例数や主評価項目を変更したこともあり、plazomicinの代わりにcolistinを投与した群と統計的に有意な差はなかった。Achaogenもエビデンスが万全ではないと認識しており、他に適当な治療手段がない患者のサルベージセラピーとして承認を求めている。

リンク: Achaogenのプレスリリース

CHMP、SareptaのDMD治療薬に否定的な傾向投票
(2018年5月3日発表)

Sarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)は、EUの医薬品科学的評価委員会であるCHMPがEXONDYS 51(eteplirsen)の承認に関して傾向投票を行ったところ否定的な結果になったことを、18年第1四半期決算報告の中で公表した。

傾向投票は、肯定的/否定的意見を出すための正式な採決よりも前の段階で、委員会の趨勢を把握するために行うもの。CHMPは、薬効を疑っているというよりは、臨床試験外のデータを対照群の一部に外挿していることなどプロトコルが厳格でなく、条件付き承認の条件を満たしていないことを問題視している模様。

Sareptaは再審請求を行ったり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など神経筋疾患のエキスパートによるSAG(科学的諮問グループ)の招集を求めたりする考え。

EXONDYS 51は米国で16年に承認されたが、審査担当者などの反対をCDER(小分子薬などの審査を行う組織)のヘッドが鶴の一声で覆した経緯がある。薬効のエビデンスが脆弱なので、承認取得には力業が必要だ。

リンク: Sareptaのプレスリリース


【承認】


Portola、Xa阻害剤の解毒剤が承認
(2018年5月3日発表)

Portola Pharmaceuticals(Nasdaq:PTLA)は、FDAがAndexXa(andexanet alfa)を承認したと発表した。Xa阻害剤を服用している患者が事故で出血したり緊急手術を受けなければならなくなった時に、その血栓阻害作用を中和するために用いる。

対象となるXa阻害剤はバイエル/JNJのXarelto(rivaroxaban)とBMS/ファイザーのEliquis(apixaban)に限定され、第一三共のSavaysa(edoxaban、和名リクシアナ)や低分子量ヘパリンは承認されなかった。

血栓塞栓症や虚血、心停止、突然死のリスクが枠付き警告された。

Portolaは量産プロセスの承認申請を行う予定。年末ごろに承認された後に本格発売する考え。EUではCHMPの傾向投票が肯定的な結果になったが、量産プロセスなどの情報を求められたため、承認は来年にずれ込む見込みとのこと。

リンク: Portolaのプレスリリース

ノバルティス、CAR-Tの適応が拡大
(2018年5月1日発表)

ノバルティスは、Kymriah(tisagenlecleucel)をB細胞リンパ腫の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。再発性・難治性の、びらん性大細胞型B細胞リンパ腫、ハイグレードB細胞リンパ腫、または濾胞性リンパ腫によるびらん性大細胞型B細胞リンパ腫の三次以降の治療に用いる。

CAR-Tと呼ばれるテイラーメイド療法で、B細胞に特異的に発現するCD19に対する抗体フラグメントなどの遺伝子を患者から採取したT細胞に導入したもの。患者の体内に戻すと抗原提示なしでB細胞を攻撃する。ノバルティスはペンシルバニア大学からライセンスした。

昨年、米国で再発性・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病用薬として初承認された。今回の承認は第二相試験に基づくもので、ORR(客観的反応率)が50%(完全反応率は32%)だった。重度以上の有害事象の発生率は、サイトカイン放出症候群が23%、神経学的有害事象が18%、脳症が11%だった。骨髄抑制や感染症も増加した。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ノバルティス、braf阻害剤とMEK阻害剤の黒色腫摘出術後アジュバント療法が承認
(2018年4月30日発表)

ノバルティスは、braf阻害剤Tafinlar(dabrafenib)とMEK1/2阻害剤Mekinist(trametinib)の併用レジメンの適応拡大がFDAに承認されたと発表した。ステージIIIの、braf V600E/K変異を持つ黒色腫を完全切除した後のアジュバント(再発予防)療法で、偽薬と比較した臨床試験では、無再発生存のハザードレシオが0.47と有意に優れていた。

この併用レジメンは、切除不能なbraf V600変異を持つ悪性黒色腫や非小細胞性肺癌にも承認されている。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ラピアクタ、EUで承認
(2018年5月1日発表)

BioCryst Pharmaceuticals(Nasdaq:BCRX)のAlpivab(peramivir、和名ラピアクタ、米国名はRapiab)がEUで承認された。日本に8年遅れ、米国と比べても4年遅れ。2歳以上の非複雑インフルエンザに用いる。一回の点滴で足りるので、薬を飲めない状態の患者に適しているが、日本における塩野義製薬の売上を見る限りでは、出番が少なそうだ。

リンク: BioCrystのプレスリリース







今週は以上です。

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