2018年5月27日

2018年5月27日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • MSD、SNSCLCでもキイトルーダの一次治療CT併用試験が成功 
  • アッヴィ、イムブルビカのCLL一次治療ガザイバ併用試験が成功 
  • バイオマリン、フェニルケトン尿症治療薬が承認 
  • 山之内が起源のスロンボポイエチン受容体アゴニストが遂に承認 
  • EUもJulucaを承認 
  • FDA、歯生期のむずかりにOTCベンゾカインを用いないよう警告 


【新薬開発】


MSD、SNSCLCでもキイトルーダの一次治療CT併用試験が成功
(2018年5月23日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の第三相、KEYNOTE-407試験の独立データ監視委員会が中間解析で成功認定したと発表した。扁平上皮性非小細胞性肺癌(SNSCLC)の標準一次治療薬であるcarboplatinとpaclitaxel(またはnab-paclitaxel)の併用レジメンに更にKeytrudaを追加する効果を検討したところ、PFS(無進行生存期間)もOSも有意に延長した。データは来週始まるASCO米国臨床腫瘍学会で発表される予定。

扁平上皮以外の非小細胞性肺癌についてはcarboplatin及びpemetrexedと併用した一次治療試験が成功、米国で承認されている。

リンク: MSDのプレスリリース

アッヴィ、イムブルビカのCLL一次治療ガザイバ併用試験が成功
(2018年5月24日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、Imbruvica(ibrutinib)の第三相、iLLUMINATE試験が成功したと発表した。CLL(慢性リンパ性白血病)/SLL(小リンパ球性白血病)の治療を初めて受ける、65歳以上などの強化化学療法に適さない患者を組入れて、ロシュの糖鎖改変型抗CD20抗体であるGazyva(obinutuzumab、和名ガザイバ)と併用するレジメンのPFS(独立評価委員会が判定)をchlorambucil・Gazyva併用群と比較したところ、統計的かつ臨床的に有意な差があった。

データは今後、発表される予定。

ImbruvicaはPharmacyclicsがジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発したBTK阻害剤。米国外はJNJが販売している。アッヴィはPharmacyclicsを210億ドルで子会社化した。

リンク: アッヴィのプレスリリース


【承認】


バイオマリン、フェニルケトン尿症治療薬が承認
(2018年5月24日発表)

FDAはバイオマリン・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:BMRN)のPalynziq(pegvaliase-pqpz)をフェニルケトン尿症の治療薬として承認した。既存治療で血中フェニルアラニンが十分に減らない患者に用いる。欧州では3月に承認申請が受理されたところ。

バイオマリンは希少疾患用薬開発会社で、フェニルケトン尿症治療薬としては、サントリーが開発したビオブテンの日本以外の権利をライセンスしてKuvan(sapropterin dihydrochloride)として07年に米国で、08年には欧州でも、発売した。

Palynziqは酵素コファクターではなく酵素補充療法で、一日一回皮注する。免疫原性が原因なのか、臨床試験では応答性が悪かったり、アナフィラキシーを起こしたりする患者がいた。このため、位置づけは第二選択薬となり、アナフィラキシーの枠付き警告やREMS(リスク評価・緩和戦略)が導入され、また、アナフィラキシーに備えてエピネフリン・オートインジェクターを同時に処方する必要がある。

フェニルケトン尿症は先天性疾患で、様々な食料・飲料に含まれるフェニルアラニンを分解することができない。第一選択は含有飲食料を避けること。バイオマリンが展開する地域の患者数は33000人と推定されているが、Kuvan利用者は2000人程度と推定されており、Palynziqも普及は限定的か。価格は年19万ドルとKuvanより3割近く高い。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: バイオマリンのプレスリリース

山之内が起源のスロンボポイエチン受容体アゴニストが遂に承認
(2018年5月21日発表)

FDAは、Dova Pharmaceuticals(Nasdaq:DOVA)が承認申請したDoptelet(avatrombopag)を承認した。重度血小板減少症を合併する慢性肝疾患の成人が手術を受ける前に5日間服用する。術前・術後の血小板輸血やそれに伴う感染症リスクを抑制することができる。ニッチな用途だが、類薬が承認されている慢性ITP(免疫性血小板減少性紫斑症)でも今年下期に承認申請される見込み。

起源は山之内製薬で、藤沢薬品と合併した時に山之内アメリカからスピンアウトしたAkaRxが世界権を取得。その後、07年にMGIがAkaRxを子会社化、08年にはそのMGIをエーザイが子会社化、そして16年にエーザイがavatrombopagに係る権利・知的財産をDova社に譲渡という経緯だ。経由した会社が多いため開発コードもYM477、AKR-501、E5501と変遷した。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Dova社のプレスリリース

EUもJulucaを承認
(2018年5月11日発表)

グラクソ・スミスクラインは、EUがJulucaの販売を承認したと発表した。ヴィーブヘルスケアのインテグラーゼ阻害剤、Tivicayの活性成分であるdolutegravirと、ジョンソン・エンド・ジョンソンの非核酸系逆転写阻害剤、Edurantの活性成分のrilpivirineの合剤で、多剤併用療法が成功してウイルス抑制が6か月以上持続している、非核酸系逆転写阻害剤やインテグラーゼ阻害剤に抵抗性を持たない患者がスイッチできる。

通常のHIV/AIDS治療は三種類以上の薬を併用するが、Julucaは二剤で足りることが画期的。米国では昨年11月に承認された。

リンク: GSKのプレスリリース


【医薬品の安全性】


FDA、歯生期のむずかりにOTCベンゾカインを用いないよう警告
(2018年5月23日発表)

FDAは、ベンゾカインを含有するOTCティーシング(歯生期むずかり)製品が幼小児に深刻なリスクをもたらすと消費者に警告するとともに、メーカーに対してこの用途で販売するのを止めるよう依頼した。もしメーカーが応じなかった場合、市場から除去するための法的手続きを開始する考え。他の経口ベンゾカイン製品についても警告を記載するよう要求中。

09年から17年のFAERS(有害事象報告システム)や文献を調べたところ、119例のベンゾカイン関連メトヘモグロビン血症が見つかった。年齢情報がある症例のうち22例が18歳以下、うち11例が2歳以下。致死は4例で、のうち一人は2歳以下だった。ベンゾカイン使用目的として多かったのは経食道心エコー検査(53例)で、そのほかに内視鏡検査や挿管などが多かった。剤型では局所スプレーが75例、経口ゲルが20例だった。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: FDAの安全性情報








今週は以上です。

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