2018年1月21日

2018年1月21日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • キートルーダ、肺癌一次治療化学療法併用試験が成功 
  • ウベニミクスの新用途探索試験がフェール 
  • PharmaMar、lurbinectedinの第三相卵巣癌試験がフェール 
  • シャイアー、アディノベイトがEUでも承認 
  • ジオトリフ、適応となるEGFR変異型が増加 


【新薬開発】


キートルーダ、肺癌一次治療化学療法併用試験が成功
(2018年1月16日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キートルーダ)の第三相KEYNOTE-189試験が中間解析で成功したと発表した。3ヶ月前に解析計画が変更され完了見込み時期が19年に先送りされた経緯があるので、サプライズ。データは今後、学会発表される見込みで、現時点では効果のほどが不明だが、肺癌領域におけるBMS/小野薬品のOpdivo(nivolumab)との差をまた一歩、広げることになりそうだ。

189試験は進行性・転移性非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療を受ける患者614人を組入れた。EGFRやALKの活性化変異を持つ患者は対象外。PD-L1発現は不問。

介入方法は白金薬(cisplatinまたはcarboplatin)とAlimta(pemetrexed)を併用する標準療法にKeytrudaを追加する三剤併用療法、対照群は標準療法のみ、2対1割付。主評価項目はPFS(無進行生存期間)、そして、全生存期間が昨年10月に追加された。

この適応・用法は米国では第1/2相試験の結果に基づいて昨年5月に承認されており、189試験は薬効確認試験という位置づけになる。欧州は承認されず申請撤回となったので、今回の試験が承認申請用試験となる。主評価項目に全生存期間を追加したのは、エビデンスを頑強にする意図だろう。

抗PD-1/PD-L1抗体はMSD、BMS/小野、ロシュ、アストラゼネカ、ベーリンガー・インゲルハイム/ファイザーなど多くの製薬会社が開発・販売に鎬を削っている。様々な癌に有効で、併用レジメンも様々な作用機序の薬との組み合わせが考えられるため、競争に勝つためには適応症と併用法の優先順位決定が重要だ。

BMSはYervoy(ipilimumab)を持つ強みを生かしてYervoy併用レジメンに重点を置いているが、免疫性副作用が増強されるのが難点だ。アストラゼネカはYervoyと類似した薬の開発権をファイザーから取得し併用試験を行ったが、これも今一つだった。

MSDは、様々な会社と協業してその会社の製品・開発品と併用試験を行っている。今回の189試験はAlimtaを販売するイーライリリーと共同で実施した。少なくとも非小細胞性肺癌に関しては、抗CTLA4抗体ではなく白金系併用レジメンと併用する戦略に軍配が上がったと言えよう。

今後の課題は、PD-L1スクリーニングの妥当性だ。一次治療化学療法併用は不問、単剤投与する場合は強発現のみ、再発に単剤投与する場合は強度でなくても陽性なら良しと、区々だが、本当にこれで良いのか?それとも、もっと良い閾値があるのか?知りたいところだ。

リンク: MSDのプレスリリース

ウベニミクスの新用途探索試験がフェール
(2018年1月16日発表)

アイガー・バイオファーマシューティカルズ(Nasdaq:EIGR)は、ubenimexの第二相肺動脈高血圧症試験がフェールしたことを明らかにした。肺血管抵抗性も6分歩行テストも改善しなかった。サブグループ分析でも有効性は示唆されなかった。並行して実施されている第二相リンパ浮腫試験の結果を待って開発続行の当否を決めることになるのではないか。

アイガーはスタンフォード大学の研究成果を活用して有望な作用機序を特定、薬は既存のものを再利用することで開発時間やリスクを抑制する戦略。現在は四品の第二相試験を実施中。この中から幾つ第三相入りするか、ステージアップやドロップの補充を上手く進めて第二相四品というスケール感を維持できるか、が今後の注目点になる。類似の戦略を取るメディシノバはステージアップ実績だけでなくパイプラインの補充の面でも期待外れだった。

ubenimexは日本化薬が成人性急性非リンパ性白血病薬ベスタチンとして販売しているロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤。この酵素により産生されるロイコトリエンB4が肺動脈高血圧症に関与するというスタンフォード大の基礎研究に基づき、15年にこれらの疾患向けに欧米の開発販売権を取得したもの。

リンク: アイガー社のプレスリリース

PharmaMar、lurbinectedinの第三相卵巣癌試験がフェール
(2018年1月18日発表)

スペインのPharmaMar社は、PM1183(lurbinectedin)の第三相白金薬抵抗性卵巣癌試験、CORAILがフェールしたと発表した。主評価項目であるPFS(無進行生存期間)がtopotecan群やPLD(ドキソルビシンのリポソーム製剤)群を有意に上回らず、同程度だった。一方、安全性は対照群より良好だった。

同社は海洋生物の分泌物などを元に抗癌剤を創製・開発しており、アルキル化剤のYondelis(trabectedin、和名ヨンデリス)を卵巣癌用薬として商業化した実績がある。PM1183も天然の海洋物質を雛形にして合成したアルキル化剤。日本は中外製薬が16年にライセンスした。

PharmaMarは小細胞性肺癌や内膜腫でも第三相試験を実施しており、元々、この二用途のほうが期待が大きいようだ。

リンク: PharmaMarのプレスリリース(pdfファイル)


【承認】


シャイアー、アディノベイトがEUでも承認
(2018年1月15日発表)

英国のシャイアーは、Adunovi(rurioctocog alfa pegol、米国名Adynovate、和名アディノベイト)がEUで承認されたと発表した。遺伝子組換え型血液凝固第8因子で、PEG化により半減期を既存製剤の1.4~1.5倍に長期化、投与頻度を週3-4回から2回に削減した。12歳以上のA型血友病患者の出血の治療または予防に用いる。シャイアーが16年に買収したバクスアルタ社の製品。

リンク: シャイアーのプレスリリース

ジオトリフ、適応となるEGFR変異型が増加
(2018年1月16日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムは、FDAがGilotrif(afatinib、和名ジオトリフ)の適応拡大を承認したと発表した。不可逆的EGFR/her2阻害剤で、13年にEGFRのエクソン19欠損またはL858R置換を持つ非小細胞性肺癌の一次治療薬として承認。16年には白金薬治療歴を持つ扁平上皮非小細胞性肺癌にEGFR変異の有無を問わず用いる適応拡大が承認されている。

今回の適応は、EGFRにL861Q、G719X、またはS768I変異を持つ転移性非小細胞性肺癌の一次治療。肺癌のEGFR変異は13年に承認された二つのタイプが多く、今回の三種は一割程度を占めるだけである模様だが、予後が比較的悪いとのことだ。

Gilotrifは様々な第三相試験が実施されたが、今回の承認はこれらの治験のサブグループ分析に基づくもの。

リンク: ベーリンガー社のプレスリリース






今週は以上です。

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