2017年1月29日

2017年1月29日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • エーザイ、レンビマの肝癌試験成功 
  • CHMPがゼルヤンツなどの承認に肯定的意見 



【新薬開発】


エーザイ、レンビマの肝癌試験成功
(2017年1月25日発表)

エーザイは、VEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib、和名レンビマ)の適応拡大試験成功を発表した。肝機能障害が比較的軽い(Child-Pugh分類A)切除不能肝細胞腫の一次治療試験で、延命効果がバイエルのVEGFR阻害剤Nexavar(sorafenib)と比べて非劣性だった。日米欧などで適応拡大申請に向けて当局と相談する考え。VEGFR阻害剤は腎細胞腫では多くの製品が承認されているが、肝細胞種で薬効を示したものは少ないため、承認されれば貴重な選択肢の一つになりうる。

リンク: エーザイのプレスリリース(和文)

【承認審査・委員会】


CHMPがゼルヤンツなどの承認に肯定的意見
(2017年1月27日発表)

EUの薬品審査機関EMAの医薬品科学的評価委員会であるCHMPは、1月の会議で、ファイザーの抗関節薬Xeljanz(tofacitinib citrate、和名ゼルヤンツ)の新薬承認などに肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月内にEU全域などで承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

Xeljanzはインターロイキン受容体の細胞内シグナル伝達に係るJanus kinase(JAK)を阻害する小分子薬で、in vitroでは血液細胞特異的に発現するJAK3に選択的だがin vivoではJAK1も阻害する模様。米国では12年、日本でも13年に承認されたが、EUはCHMPが12年に否定的意見を出し遅れていた。臨床試験で用量・投与期間依存的な腫瘍リスクや深刻な感染症、胃腸穿孔が見られことが理由。今回、肯定的意見に転じた経緯は明らかではない。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: ファイザーのプレスリリース

新薬はXeljanzのみ。適応拡大では、セルジーン(Nasdaq:CELG)のRevlimid(lenalidomide、和名レブラミド)の用法追加が肯定的意見を得た。多発骨髄腫の新患でASCT(自家幹細胞移植)を受けた成人の、維持療法として単剤投与するというもの。Revlimidは多発骨髄腫、MDS(骨髄異形成症候群)、マントル細胞リンパ腫に用いることが承認されていて、多発骨髄腫では幹細胞移植不適患者の一次治療として多剤併用、dexamethasone併用で二次治療、の用法が既承認。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: セルジーンのプレスリリース

EUで新薬承認を取得するルートは複数あるが、生物学的製剤やバイオシミラーはEMAが審査する。今回はアッヴィの抗TNFアルファ・ヒト化抗体、Humira(adalimumab)のシミラーが肯定的意見を受けた。アムジェンのABP 501で、製品名はAmgevitaとSolymbicの二種類。適応症は、リウマチ性関節炎、若年性特発性関節炎、軸性脊椎関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、小児尋常性乾癬、汗腺膿瘍、クローン病、小児科のクローン病、潰瘍性大腸炎とブドウ膜炎。 ABP 501は米国では昨年9月に承認されたがアッヴィが特許侵害で提訴しており発売は18年以降と目されている。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: アムジェンのプレスリリース

一方、ノバルティスのGE薬子会社であるサンドが、アムジェンの遺伝子組換え型ヒトG-CSFであるNeulasta(pegfilgrastim、和名ニューラスタ)のバイオシミラーの承認申請を撤回したことが明らかにされた。米国でも昨年7月に審査完了通知を受領しており、順調に進んでいない。CHMPは、PK試験で血中濃度の同等性が示されていないことや、生産拠点がGMP証書を得ていないことから、承認に否定的であったことを明らかにした。

リンク: EMAのプレスリリース




今週は以上です。

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2017年1月22日

2017年1月22日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗PD-1抗体の競争は一進一退 
  • FDA、第二のGC-C受容体アゴニストを承認 
  • イムブルビカの適応拡大承認 
  • サノフィ、糖尿病コンビ薬がEUでも承認 


【新薬開発】


抗PD-1抗体の競争は一進一退
(2017年1月19日発表)

BMS/小野薬品とMSDは抗PD-1抗体の開発販売でデッドヒートを繰り広げている。今週は三つの動きがあった。BMS/小野薬品のOpdivo(nivolumab)の肺癌一次治療用途での承認申請遅延、日本などでの胃癌試験成功、そして、MSDと特許紛争で和解して巨額の特許実施許諾料を確保、である。

非小細胞性肺癌の一次治療ではMSDに後れを取っている。Keytruda(pembrolizumab)はPD-L1高発現型にモノセラピーで承認、扁平上皮腫以外の患者をPD-L1ステータスを問わずに組入れた三剤併用試験も成功した。Opdivoは二次治療で承認されているが、一次治療はモノセラピー試験が白金ベース二剤併用を上回ることができずフェール。モノセラピー、Yervoy(ipilimumab)併用、白金ベース三剤併用を白金ベース二剤併用の標準療法と比較した第三相試験の結果が18年頃に判明するのを待っている状態だ。

このうち、Yervoy併用レジメンの開発方針について、BMSは、現時点では加速承認申請を見送る考えであることを明らかにした。承認申請用試験の厳格性を維持するために詳細は公表しないとのこと。おそらく、CheckMate-227試験のPFS(無進行生存期間)あるいはORR(客観的反応率)が著しく良ければそれに基づいて承認申請できるよう準備していたが、それほどでもなかったため、全生存期間の解析結果が出るまで待つ考えなのだろう。尚、227試験は日本の施設も参加している。

自社製品であるYervoy(ipilimumab)との併用レジメンの開発が成功すれば患者一人当り売上高を倍増できるので、大きな意義がある。Yervoyに関する見識ではMSDを上回るはずであり、併用法の開発自体にもアドバンテージがあろう。期待の用法だったのだがスムーズに進まず、結局、非小細胞性肺癌用途ではMSDに後れを取ってしまった。これまでの化学療法薬とは異なる独特の副作用を持つ免疫強化療法同士の組み合わせなので、指摘用量・用法の探索に手間取ってしまったのだろう。

もう一つは、MSDが比較的早くからPD-L1ステータスに基づくスクリーニングを採用していたのに対して、BMSは否定的であったこと。非小細胞性肺癌の反応予測因子としてどの程度有効なのか、治療段階や併用薬によって異なるのか、よく分からない点もあるが、Keytrudaの成功した試験は高発現だけ、あるいは、発現状況不問だが扁平上皮性肺癌は除く、など対象を絞り込んでいるのに対して、CheckMate-227試験は著しく大きな網を投げている(組入れ数も大きいが)。開発方針のきめ細かさの違いが影響した可能性がある。

BMSは90年代に研究開発の重点をプライマリーケア医領域から腫瘍学、免疫学、ウイルス学などの専門医用薬にシフトし、2000年代以降に画期的新薬を続々と発売する花形企業の一社になった。一方、MSDは2000年代に研究開発カルチャーを転換、自前主義や部門間の垣根を排し、臨床開発のスピードアップに向けた施策を導入した。抗PD-1抗体の開発では小野薬品やBMSが買収したメダレックスの方が先行していたはずだが、発売はMSDが先であり、この二社の競争は戦略と戦略の争いでもある。

リンク: BMSのプレスリリース(1/19付け)
リンク: CheckMate-227試験の治験登録

成功した胃癌試験は小野薬品が日本、韓国、台湾で実施した第三相試験で、切除不能末期再発性胃癌で標準療法に不応不耐だった患者を組入れて、2mg/kgを2週間に一回投与する群と偽薬群の全生存期間を比較したもの。Opdivo群はメジアン5.32ヶ月、偽薬群は4.14ヶ月とメジアン値の差は小さいが、1年生存率は26.6%対10.9%となっており、応答する患者には比較的大きな効果を示している。ハザードレシオは0.63。グレード3/4の治療関連有害事象発生率は10.3%と偽薬の4.3%を上回った。日本で今月、効能追加申請された。

リンク: BMSのプレスリリース(1/19付け)

小野/BMS陣営は押され気味だが、特許侵害訴訟で一矢を報いた。和解に達し、MSDが一時金6.25億ドルと売上ロイヤルティを払うことになったのだ。後者は17~23年は売上の6.5%、24~26年は2.5%というもの。米国で進められていた特許侵害訴訟が小野/BMS優勢で推移していたためMSD側が折れるのは予想されていたが、最初の7年間の料率が予想以上に高い。

リンク: BMSのプレスリリース
リンク: MSDのプレスリリース

【承認】


FDA、第二のGC-C受容体アゴニストを承認
(2017年1月19日発表)

FDAは、Synergy Pharmaceuticals(Nasdaq:SGYP)のTrulance(plecanatide)を慢性特発性便秘治療薬として承認した。米国でIronwood Pharmaceuticals(Nasdaq:IRWD)とアラガン(NYSE:AGN)が共同販売しているLinzess(linaclotide、和名リンゼズ)と同じグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体アゴニストで、二本の第三相試験では持続的全般的奏効率が21%と偽薬群の10~13%を上回った。主な有害事象は下痢。

LinzessはIBS-C(便秘型過敏性腸症候群)の治療に用いることも承認されている。Trulanceも第三相が成功し3月までに適応拡大申請される見込みなので、早晩キャッチアップするだろう。

リンク: FDAのリリース
リンク: Synergyのプレスリリース

イムブルビカの適応拡大承認
(2017年1月19日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)とジョンソン・エンド・ジョンソンは、夫々、Imbruvica(ibrutinib)の適応拡大がFDAに承認されたと発表した。これまでに慢性リンパ性白血病や非ホジキンリンパ腫の一種であるマントル細胞腫やワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症に用いることが承認されているが、新たに、非ホジキンリンパ腫の別のタイプである辺縁帯(マージナルゾーン)リンパ腫の二次治療に用いることが認められた。

ImbruvicaはBruton’s tyrosine kinase (Btk)阻害剤。B細胞のサバイバルに関与する酵素を阻害してアポトーシスを誘導する。ファーマサイクリクス社の開発品で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは共同開発提携により、アッヴィはファーマサイクリクス社買収により、入手したもの。

リンク: アッヴィのプレスリリース
リンク: JNJのプレスリリース

サノフィ、糖尿病コンビ薬がEUでも承認
(2017年1月18日発表)

サノフィは、SuliquaがEUで承認されたと発表した。持効性インスリンLantus(insulin glargine)とGLP-1作用剤Lyxumia(lixisenatide)のプリミックスで二型糖尿病の治療に用いる。米国では昨年11月にSoliqua名で承認された。

この薬の難点は、インスリンは患者の状態に応じて用量を調整するがGLP-1作用剤はセラプティックインデックスが小さいという違いがあるにもかかわらず、用量の組み合わせが少ないこと。EUはメーカーが申請した二種類の製品を承認したが、米国は誤用を懸念したのか一種類だけだったため、使い勝手が余計悪くなった。

リンク: サノフィのプレスリリース




今週は以上です。

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2017年1月15日

2017年1月15日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • キイトルーダ、肺癌用途で更に用法追加申請 
  • ロシュ、Tecentriqの一次治療適応拡大を申請 
  • 静注用rolapitantは審査完了通知 
  • ギリアドのベムリディ、EUでも承認 



【承認申請】


キイトルーダ、肺癌用途で更に用法追加申請
(2017年1月10日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の用法追加申請がFDAに受理されたと発表した。転移性NSNSCLC(非扁平上皮性非小細胞性肺癌)の一次治療としてAlimta(pemetrexed)及びcarboplatinと併用するもの。審査期限は5月10日。承認されれば抗PD-1抗体の化学療法併用として初。非小細胞性肺癌用途における他社品との差を更に拡大できることになろう。


非小細胞性肺癌用途では単剤で一次治療又は二次治療を行うことが承認されているが、対象はPD-L1高発現癌に限定されている。一方、今回の申請はPD-L1不問であることが特徴。EGFRやALKに活性化変異のある癌は適応外。用量は200mg(3週間毎に点滴静注)で、最近の申請は体重相関(血中濃度重視)ではなく200mg決め打ちが多い。

承認申請のエビデンスとされたのはP1/2試験であるKEYNOTE-021試験の第2部、Gコフォートの反応率データ。三剤併用群のORRは55%、Alimta・carboplatinの二剤だけの群は29%、PFS(無進行生存期間)のハザードレシオは0.53、メジアン値は各群13.0ヶ月と8.9ヶ月だった。治療関連深刻有害事象の発生率は各39%と26%だった。クロスオーバーのためか、全生存期間は大差なかった。

リンク: MSDのプレスリリース
リンク: Langerらの治験論文(Lancet Oncology誌)

ロシュ、Tecentriqの一次治療適応拡大を申請
(2017年1月9日発表)

ロシュは、Tecentriq(atezolizumab)の適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。局所進行性転移性尿路上皮腫の二次治療薬として承認されているが、承認されれば、cisplatinが不適な患者の一次治療に用いることが可能になる。第二相試験の反応率データに基づく申請。子の治験の登録によると、cisplatin不適の要件は、腎機能低下、聴力低下、グレード2以上の末梢神経症、ECOGパフォーマンススコアが2、の何れか。

リンク: ロシュのプレスリリース

【承認審査・委員会】


静注用rolapitantは審査完了通知
(2017年1月11日発表)

TESARO(Nasdaq:TSRO)は遅発性化学療法誘導性悪心嘔吐治療薬Varubi(rolapitant)錠の静注用製剤をとしてFDAに承認申請していたが、審査完了通知を受領した。生産委託先で懸念が生じたためTESAROは別の会社に切り替えたが、FDAは同等性に疑問を持っているのか、in vitroにおける同等性の検証方法に関する追加データの提出を求めた模様。

簡単に回答できる内容なら審査期限延長程度で済むだろうから、難しい問題なのかもしれない。

rolapitantはOpko Health(NYSE:OPK)がシェリング・プラウから権利を取得しTESAROに独占開発生産販売権を供与したもの。TESAROはMGI(後にエーザイが買収)で制吐剤Aloxiを商業化したメンバーが設立した会社。

リンク: TESAROのプレスリリース

【承認】


ギリアドのベムリディ、EUでも承認
(2017年1月11日発表)

ギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)はVemlidy(tenofovir alafenamide fumarate、和名ベムリディ)がEUでB型肝炎ウイルス治療薬として承認されたと発表した。米国では昨年10月、日本でも同年12月に承認されている。テノホビルの新しい塩で分布が良いため少量で足り、副作用リスクが小さい。

リンク: ギリアドのプレスリリース




今週は以上です。

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2017年1月8日

2017年1月8日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • Melinta、日本発の抗生物質を承認申請 
  • KRN23が欧州で承認申請受理 
  • solithromycinは審査完了通知 
  • InBiosのジカ・ウイルス検査は偽陽性に注意? 



【承認申請】


Melinta、日本発の抗生物質を承認申請
(2017年1月7日発表)

米国のMelinta Therapeuticsは、Baxdela(delafloxacin)の承認申請がFDAに受理されたと発表した。優先審査で、審査期限は17年6月19日。QIDP指定を受けているため、無事に承認されれば優先審査バウチャーを獲得することができる。

他のフルオロキノロンと比べた特徴は、スペクトラムが広くMRSA活性を持ち、QT延長が見られないこと。静注用と経口剤の二種類。適応は急性細菌性皮膚皮膚構造感染症。第三相試験では、vancomycinとatreonamを用いる標準療法群と比べて奏効率が非劣性だった。

これまでの経緯は、湧永製薬が当初は大日本やアボットに導出したが開発中止・権利返還に。06年にRib-X Pharmaceuticalsが開発権を取得、IPOを狙ったが上手く行かずに断念し、大株主交代を経て現在の社名に変更という経緯がある。

リンク: Melintaのプレスリリース(GlobeNewswireのサイト)

KRN23が欧州で承認申請受理
(2017年1月5日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)と協和発酵キリンは、KRN23をEUに成人X染色体遺伝性低リン血症(XLH)治療薬として承認申請し受理されたと発表した。XLHの患者で高発現しているFGF23に結合する完全ヒト化モノクローナル抗体で、リンの再吸収や血中濃度を増加させる。

Ultragenyxは13年に協和発酵キリンから共同開発販売権を取得した。FDAからファーストトラック指定を受けている。

リンク: Ultragenyxのプレスリリース

【承認審査・委員会】


solithromycinは審査完了通知
(2016年12月29日発表)

Cempra(Nasdaq:CEMP)はsolithromycinを地域感染性細菌性肺炎の治療薬として米国で承認申請していたが、審査完了通知を受領した。肝毒性の検討が不十分であることやサプライ・チェーンで発生したcGMP問題(生産体制の不備)が原因である模様。

ケトライド系の抗生物質で、ファースト・イン・クラスのtelithromycinは大規模な肝臓安全性確認試験を経て承認されたが、虚偽報告が発覚したのを機に、厳しい用途制限が導入された。solithromycinの臨床試験では肝イベントがtelithromycinのデータと比べても多く発生したため、11月に開催された抗微生物薬諮問委員会では委員13人中12人がリスクの検討が不十分と判定した。それでも、リスクと便益の全体的なバランス、即ち承認の是非については、7人が支持、6人が反対と拮抗した。

FDAは深刻な薬物誘導性肝障害の発生頻度が3000人に一人以上である可能性を排除するために、solithromycin群だけで9000人規模の安全性確認試験を実施するよう要請した模様。肺炎は命に係る疾患だが、慢性疾患用薬の薬物誘導性肝障害リスクに関する要件を適用したことになる。

solithromycinはOptimer Pharmaceuticals(現在はMSD傘下)からマクロライド系/ケトライド系の研究開発プログラムを取得したもの。日本の権利は富山化学が取得、第三相試験中。

リンク: Cempraのプレスリリース

【医薬品の安全性】


InBiosのジカ・ウイルス検査は偽陽性に注意?
(2016年12月23日発表)

FDAは、InBios International社のジカ・ウイルス検査について、当初想定されていたよりも偽陽性が多い可能性があり、陽性であった場合は確認的検査を行うよう、警告した。妊婦が感染した場合は中絶する可能性もあるので、確認は特に重要だ。

この検査は民間製で初のジカ・ウイルス予備的検査アッセイとして16年8月に米国で承認された。予備的検査なので、元々、確認的検査を行う必要があるが、過去の試験では多くが追認された。ところが、LabCorp社がInBiosのアッセイで陽性と判定された検体をCDC(米国の疾病管理予防センター)のアッセイでも調べたところ、陽性は半分以下だった。原因は不明で、LabCorp側の問題である可能性も残っているが、重要なインプリケーションがあるため、即断しないよう警告を発出したもの。

確認的検査は1~4週間かかるが妊婦と伝えれば優先される可能性があるようだ。

薬も検査アッセイも、臨床試験は選ばれた医療施設の選ばれた医療従事者が選りすぐられたボランティアを対象に厳格な環境で実施する。現実の医療では効果はもっと低く、副作用はもっと多いと考えるべきである。それにしても上記の食い違いは大きすぎ、早期の原因解明を期待したい。

リンク: FDAのMedWatch安全性情報
リンク: FDAの警告(16/12/22付け)




今週は以上です。

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