2013年4月7日

海外医薬ニュース2013年4月7日号




【ニュース・ヘッドライン】




  • Syk阻害剤の抗リウマチ作用は穏やか
  • バイオマリンが米国でムコ多糖症IV-A型の治療薬を承認申請


【新薬開発】


Syk阻害剤の抗リウマチ作用は穏やか

(2013年4月5日発表)

アストラゼネカは米国のライジェル・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:RIGL)からR788(fostamatinib disodium)を導入して中重度リウマチ性関節炎の第三相試験を行っているが、一本目のトップライン・データが発表された。症候改善作用は予想された通り穏やかで、構造的損傷防止作用は予想された通り確認されなかった。市場の期待はもっと高かったのか、ライジェル社の株価は暴落した。

R788は、マストセルやマクロファージ、BセルなどのIgG受容体の細胞内シグナル伝達に係るサイトプラスマのsyk(spleen tyrosine kinase)を阻害する経口薬で、IL-6やMMP-3を減少させる。今回の第三相試験は中重度リウマチ性関節炎でmethotrexateに十分に反応しない患者923人を対象に、偽薬、100mgを一日二回、または150mgを一日一回(最初の4週間は100mg一日二回)、24週間に亘って追加投与する効果を比較した。

結果は、ACR20奏効率が各群34%、49%、44%となり、R788二群は何れも偽薬比有意に優れていた。尤も、上乗せは10~15%なので決して大きくはない。昨年米国で承認されたファイザーのJAK阻害剤Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)の25~37%と比べて見劣りする。

一方、構造的損傷の進行に係る放射線学的評価項目であるmTSSでは有意な群間差が見られなかった。もっと効果の高い薬でも半年では差が付かないので、已むを得ないだろう。

主な有害事象は高血圧、下痢、悪心など。過去の試験では数%の患者で大きな血圧上昇が見られ、平均昇圧は4~5mm Hgだった。

既存の疾病装飾的抗リウマチ薬はXeljanzにせよTNF阻害剤にせよ、強力に免疫抑制するため日和見感染のリスクが高まる。R788はそれほどでもない模様なので、これが差別化要素になる。それにしても効果は穏やかであり、承認されても出番は少なそうだ。

リンク:ライジェルのプレスリリース

【承認申請】


バイオマリンが米国でムコ多糖症IV-A型の治療薬を承認申請

(2013年4月1日発表)

希少疾患用薬の開発に特化した米国の新興医薬品企業、バイオマリン・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:BMRN)が、Vimizim (elosulfase alfa、開発コードBMN-110)をムコ多糖症IV-A型(別名モルキオA症候群)の治療薬としてFDAに承認申請した。EUでも4月中に承認申請する予定。

ムコ多糖症IV-A型は、ライソゾーム酵素の先天的欠乏が原因でグリコサミノグリカンが蓄積、骨の異形成、低身長、間接異常などを発症する。罹患率は20~30万人に1人、患者数は日米欧で1000~1500人、世界では2500~3000人と推定されている。

Vimizimは欠乏している酵素を補充する。効果は限定的で、176人を組入れて偽薬、2mg/kgを二週間に一回点滴、同週一回点滴の三群を比較した第三相試験では24週時点の6分歩行テスト改善が各14m、15m、37mとなり週一回点滴群のみが有意な治療効果を示した。3分階段上昇テストや努力肺活量では差がなかった。

主な有害事象は嘔吐、悪心、発熱、頭痛など。深刻な薬物関連有害事象の発生率は各群0%、1.7%、3.4%だった。

リンク:バイオマリンのプレスリリース

今週は以上です。

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